深呼吸。

今月初めて遠出をした。学生時代の仲間の墓参り。
学部の連中との付き合いはあるが、何と言っても、四六時中、なんのかのと集まって飲み会をしているのは、サークル仲間。
私の行っていた学校、滅多やたらサークルがあった。それこそ佃煮にして、日替わりで食べても、1年では食べきれないほど。だから、入学時には、同学年の連中が2〜30人はいたのではないかと思う。中で、卒業後も親しくしていたのは、4人。しかし、2人が死んでしまった。今、残っているのは、動植物に詳しいHと私だけ。
ひとりは、夏の暑い盛りに事故死した。Hが呼びかけた死んだ男がらみの人たちもまじえ、何人かで墓参りに行く。毎年暑い日が多いが、今日は雨降りの予報だった。

今日の東京霊園、雲が垂れこめていた。

雲間の色合い、美しかった。だが、墓では雨は落ちてはこなかった。
その後の飲み会、ここ数年は、立川の居酒屋に決まってる。まだ4時前だというのに、いつもの居酒屋、大きな店なんだが、満席。Hが言うには、何でも、競輪だか競馬のある日らしい。教えられた姉妹店で飲む。
実は、同学のH以外の人とは、1年に一度、この日にだけ会う。中にひとり、日本の医師免許は持っていないが、中医の資格を持っている人がいる。中国で学んだそうだ。
このひと月ちょっと、熱中症もどきになり、点滴を打つついでに、腰痛の電気治療も受けていることを話す。点滴を打ち、腰に電気を当てていると、とても気持ちがいい、と。
中医の資格を持つNさん、こう言う。
気持ちがいいかもしれないが、根本的な解決にはならない。人間は、固形物を食べないといけない。ジュースなんかより。点滴も同じようなもの、一時しのぎ、と。
電気を通すのも、気持ちはいいかもしれないが、朝晩の腹筋、背筋をする方がいい、と。いかに細くなった骨でも、筋肉を鍛えることによって堪えられるのだそうだ。
だが、腹筋や背筋を鍛える運動なんて、できないし、やりたくもない。そう言うと、いいことを教えてくれた。
深呼吸をしなさい、と。朝と夜、一日2回、それぞれ10回ずつ。腹筋運動なんてできないが、深呼吸ならできるだろう。
息を吸う時には、ゆっくりと、1、2、3、4、5、・・・・・、と10数えるのがいいそうだが、10でなく、5でもいい。そこで一拍呼吸を止めて、今度は、1から10までゆっくりと息を吐き出すといい、と中医のNさんは言う。
深呼吸なら、私にもできる。明日から、早速始めよう。なにか、始める前から、元気がでるような気がしてくる。
これも、15年前、突然この世とおさらばした、思い出深い男のおかげだ。