鬼 怒鳴門。

ドナルド・キーン、まだニューヨークにいる。国谷裕子が訪ねる。今日のNHKの番組から。

日本への帰化、永住のこと、「最後の旅」と語る。ドナルド・キーン、89歳。

18歳で『源氏物語』と出会ったドナルド・キーン、第二次大戦中は、海軍で翻訳などに従事していた。戦死した日本兵の日記などの。それだから、この言葉。

今、書いているのは、正岡子規の評伝、と。

まだニューヨークの自宅を整理しているようだ。だから、北区の図書館へ、ということのよう。東京の自宅は、北区にあるそうだから。

帰化後の日本名を書いている。鬼怒鳴門、と。アレッ、と思った。


丁度ひと月前、「三島を観る(7)」で、ドナルド・キーンの名前についても触れた。『三島由紀夫未発表書簡 ドナルド・キーン氏宛の97通』について書いた時。
三島由紀夫とドナルド・キーン、お互いに、その名を捩って言葉遊びをしているのだが、三島が書き送るドナルド・キーンの名前に、「鬼怒鳴門」はなかった。
名のドナルドは、怒鳴門。しかし、姓のキーンは、起韻、黄殷、奇院、奇因、鬼因、その折々さまざまに書き分けているが、鬼韻に落ちついた模様だった。
しかし、今日の番組で見る”キーン”の表記は、”鬼”というひと文字。
本人が決めたことだから、どうこうは言えないが、ウーン、と少し唸った。
”鬼”という字は、いい文字だ。しかし、”韻”という字も、いい文字だと思うのだが。粋で、雅で、深くもあり。
「鬼韻 怒鳴門」のほうが、よかったのじゃないかな。