原発。

明日、自民と公明は、内閣不信任案を提出するそうだ。
大義名分は、菅政権の原発事故への対応の不手際。谷垣禎一と山口那津男、小沢一郎や鳩山由紀夫とも語らって。今なら、小沢、鳩山の子分連中、造反の可能性が高い、と踏んだのであろう。
「それがどうした」、なんてことを書いている私はヒマ人だが、大震災後の今、我国の行政府や立法府の議員連中も、皆さん、おヒマなようだ。原発問題は長期戦となり、有効求人倍率は悪化し、ムーディーズは日本国債の格付け引き下げを検討している、というこの時期に。
今日の朝日に、面白い記事があった。「世界一安全な原発」がオーストリアにある、という。で、久しぶりに原発のことを書こう、と思う。
そのオーストリアの原発、約10億ユーロ(約1200億円)を費やして作ったのだが、一度も稼働していないそうだ。世界一安全なワケだ。作ったはいいが、その稼働が国民投票で否決されたらしい。それどころか、原発建設自体の禁止が、憲法にも明記された、という。
ヨーロッパは地続きだ。オーストリアの周り、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ、周辺諸国には、どの国にも原発がある。チェルノブイリのウクライナなどには、15基もある。旧ソ連の系統のヤバイものが。
オーストリアの人たち、自国での原発はなくしたが、恐かろう。ヨーロッパの諸国、皆ほんの近くなんだから。それでも、いかに近くても、数十キロは離れている。万が一の時にも、直接避難、ということにはならないだろう。
オーストリアの選択も、ひとつの見識である。難しいが、見事な選択だ。
昨日、ドイツは、2022年までに原発から脱却する方針を決めた。ドイツ、先進国の中では、唯一原発に対し懐疑的な国であったが、これは大きな決断だ。自信のある国・ドイツ以外にはできない決断だろう。
「この計画は、ドイツにとって大きな挑戦となるが、我国を効率の高い再生エネルギーの時代へ移行する、最初の工業国とするチャンスだ」、とメルケルは言う。ドイツ以外の先進国のトップ、誰にも言えない言葉。
原発比率80%のフランスはじめ、アメリカ、イギリス、日本、ロシア、その他のG8の国、皆原発推進だ。ドイツ以外は。それに次ぐ、中国、インド、韓国、ベトナム、ウズベキスタン、これらアジアの国々ばかりでなく、地球上あちこちの新興国、皆原発を持ったり、計画を立てたりしている。
何故か。
地球温暖化対策、二酸化炭素を削減しなければならない。第一、化石燃料は枯渇する。しかし、何よりの理由は、原発のコストが、さほどかからないからだ。おそらく、世界中の途上国に、原発は広がっていくだろう。原発先進国にとっては、原発プラントは、有力な輸出品ともなる。
福島第一原発の事故の後、日本は、原発を止めるべきだ、脱原発に向かうべきだ、再生可能な自然エネルギーに転換すべきだ、と言う声が多い。
これらの人たち、現実を知っているのか、と問いたい。それ以前に、日本のことを知っているのか、と。
再生可能エネルギー、太陽光、風力、地熱、バイオマス、潮力その他、原発に較べ、コストがかかるのだ。それ以前に、今、最も言われている太陽光発電にしろ、風力発電にしろ、場所がいる。日本は、山国だ。平地は少ない。その少ない平地は、町中だ。言うは易いが、おいそれとはいかないこと、解かっているのか。
さらに、1.5等国の日本、1等国のドイツのようにはいかないんだ。それも解かっているのかな、反原発を声高に唱える人は。私は、原発容認派なんだ。リスクとリターン、相関関係にある自由主義経済の世界を選択している日本なんだから。
リターンは享受するが、リスクは取りたくない、というのはズルいよ。
暫く前、中国の奥地、トルファンからウルムチへの礫漠地帯を走るバスの中から、行けども行けども、大きな風車が続いている光景を見たことを書いた。今、風力発電のトップはドイツ。次いでアメリカ、中国もドイツに倣い、上位にいる。日本は、下の方。
悲しいかな日本、狭い国なんだ。風力発電をやろうにも、その土地が少ない。私は、再生可能な自然エネルギーを目指すなら、今、どうこう言われている太陽光発電や風力発電ではなく、潮力発電に血道を挙げるべきじゃないか、と考えている。
日本、国土は狭いが、その周り、さまざまな海流が流れる国なんだから。世界のどの国もさほど重視していない、この潮力発電の開発に取り組むべきだ。それまで原発は維持しつつ。次世代の電力供給手段として。
まだ原発問題、結論には至らぬが、眠くなった。明日、続けよう。