これも、救いなのかな?

バチカンにエクソシストの養成講座があるそうだ。なんでもエクソシストの数が足りないらしい。
悪霊や悪魔に取りつかれた肉体から、悪霊や悪魔を追い出す”悪魔祓い”、どの宗教でもよく聞くこと。しかし、宗教の原始形態の名残りじゃないか、と思っていた。
でも、カトリックでは、今なお、その悪魔祓いの専門家を養成しているそうだ。もちろん、聖職者。6年前に亡くなった教皇・ヨハネ・パウロ2世も、現在の教皇・ベネディクト16世も、悪魔との戦いは疎かにできない、という考えの持ち主だという。
何しろ、悪魔祓いを求める人が増えているらしい。下世話な言葉で申せば、需要と供給のバランスが崩れている状態。カトリックの総本山・バチカンを抱えるイタリアでも、悪魔祓いの専門聖職者・エクソシストの絶対数が足りないそうだ。

去年の11月13日付けのニューヨークタイムズに、こういう記事が載ったそうだ。
「ホントかよ。ニューヨークタイムズにこんなことが」、と思うが、本当なのだろう。ワーナーブラザースの映画のポスターに、堂々と書かれているのだから。
アメリカは、プロテスタントが多数派で、カトリックは少数派だ。国民の大多数がカトリックであるイタリアでも、エクソシストの数が足らないのだから、アメリカでは、その数、極端に少ないものと思われる。
主人公は、アメリカの若い神学生、マイケル。卒業間近かになり、信仰の道、聖職者になることに疑問を感じる。しかし、彼の才能を惜しんだ恩師に勧められ、ローマに行き、バチカンのエクソシスト養成講座を受講する。
そこで、異端の神父とも言われ、一流のエクソシストとも目されているルーカスという神父を知る。若い神学生、マイケルは、一流のエクソシスト、ルーカス神父の悪魔祓いの儀式を手伝うようになり、さまざまな悪魔祓いの現場に立ち会う。
しかし、若いマイケルにとっては、悪魔が体内に取りついている、と練達のエクソシスト、ルーカスがいう憑依現象も、単に精神疾患なんじゃないか、と思えてしかたないんだ。初めのうちは。
だが、ルーカス神父の体内に悪魔が入る事態が起こる。マイケル、ルーカスに対し悪魔祓いを行う。カトリックの信仰に疑問を感じていた若い男が、いつの間にか、エクソシストになっていた。

しかし、どうしてこういう映画を見よう、と思ったのか。
いわゆるオカルトものやホラー映画は、好きじゃない。この作品、それらとは一線を画すが、悪魔祓いの場面など、おどろおどろしい場面が出てくる。音響も。
実は、練達のエクソシスト・ルーカス神父を演じているのが、アンソニー・ホプキンスなんだ。名優であり怪優であるアンソニー・ホプキンス、好きなんだ。この作品『ザ・ライト エクソシストの真実』でも、その魅力いかんなく発揮している。
あとひとつは、やはり、三陸の大津波の影響だろう。どうしても、死が頭にある。
この映画のタイトルの”ザ・ライト”は、”厳粛な儀式”、という意味。悪魔祓いの儀式を受けた人も、その多くは死んでいく。
なお、この映画は、実話に基づいているそうだ。エンディングに、そう記される。
ルーカス神父は、2000人以上の人の悪魔祓いを行い、今でもフィレンツェ郊外で活動しているそうだ。若い神父、マイケルは、アメリカに14人いるエクソシストのひとりとして、シカゴで活動しているらしい。
直接の関係はないが、フト思う。カトリックじゃなく仏教のことを。
日本の仏教界、今回の大震災に対し、どのようなことをしているのかな、ということを。