清明。

今日、清明。
暦通りの青空。吹き抜ける風も、季節の変わり目を思わせる。

近所の桜木、どこもみな三分咲き。

昭和7年(1932年)の今日より少し前、病床の宮沢賢治、こう詩っている。
     だめでしょう
     とまりませんな
     がぶがぶ湧いているですからな
     ゆうべからねむらず血も出つづけるもんですから
     そこらは青くしんとして
     どうも間もなく死にそうです
     けれどもなんといい風でしょう
     もう清明が近いので
     あんなに青ぞらからもりあがって湧くようにきれいな風がくるですな
     ・・・・・
     ・・・・・ 
     ・・・・・
     あなたの方から見たらずいぶんさんたるけしきでしょうが
     わたしから見えるのは
     やっぱりきれいな青ぞらと
     すきとおった風ばかりです
タイトルは、「眼にていう」。
死の前年の宮沢賢治、結核に加え、壊血病による出血とも闘っていた。
しかし、賢治のような透明な心からはほど遠い私には、この字句に、福島第一原発の今のありさまを思ってしまう。
80年ほど前と同じように、抜けるような青空、すきとおった風の一日であったが。