ムバラク、したたかだ。

エジプトで、ムバラク退陣を迫る動きが起きてから、2度目の金曜日がきた。ウイーンから帰ってきたエルバラダイも、この日までに辞任せよ、と迫っていた日だ。
しかし、ムバラク、なかなかしたたかだ。アメリカの足許を見ている。
昨日、反ムバラクデモが起きてから初めて、外国メディア、アメリカのABCとのインタビューに応じた。

ムバラク、こう言っている。
さらに、「大統領職には、飽き飽きした。今すぐにでも辞めたい。しかし、自分が今去れば、エジプトは、イスラム原理主義のムスリム同胞団に乗っ取られますよ」、とも言っているのだ。アメリカの痛いところを突いている。ムバラク、したたかだ。

アメリカは、今や、ムバラクを見限っている。
しかし、イスラム原理主義の組織が、エジプトを牛耳るなんてことだけは、何としても避けたい。いかに穏健派であるとはいえ、ムスリム同胞団、イスラム原理主義を掲げる組織。今後の中東情勢、不安定化する。だから、こういうことでいけないものか、と模索し、エジプト当局と掛けあっているらしい。
それでなくとも、今日、イランの最高宗教指導者・ハメネイ師が、エジプトの反政権デモを称賛、連帯の意をを示しているのだから。アメリカ、苛立っている。
だが、アメリカのこの模索、おそらく、上手くはいかないだろう。今となっては、遅すぎる。

今日の、タハリール広場での金曜礼拝。

その後の、デモに移ったムバラク即時辞任を迫る市民、今日を、「追放の日」としている。

対し、親ムバラク派は、今日を、「忠誠の日」としているそうだ。
この後、昨日のような両派の衝突があるのかどうかは、解からない。軍の動向次第だろう。ムバラクもしたたかだが、軍の意向、不気味ではある。末期症状ではあるのだが。

日本とエジプトの時差は、7時間。夜に入った今のカイロ、タハリール広場の今の映像だ。アルジャジーラのライヴ映像を引いた。
アルジャジーラ、タハリール広場を、解放広場と呼んでいるらしい。
アラブ連盟の事務局長・アマール・ムーサが、カイロの解放広場での反ムバラク行動に参加した、と書かれている。
アラブ連盟の事務局長といえば、アラブ世界では大物の実力者。アマール・ムーサも、エルバラダイと共に、ムバラク後の受け皿のひとりとして、名前のあがっていた男だ、たしか。
ムバラク、したたかである。しかし、その命運、そうは続くまい、と思われる。