北泰紀行(19) チェンマイ旧市街。

アジアの町、どこの町でもそうだが、旧市街へはその地の乗り物で行くのがいい。風情がある。
オートリクシャーであるとか、サイクルリクシャーであるとか、シクロであるとか、と。で、チェンマイでは、トクトクで行った。
チェンマイ旧市街、堀割りで囲まれており、城壁は所々にしか残ってはいないが、やはり、”城内”には違いないのだから。

チェンマイのトクトク、ややキレイすぎるキライはあるが、天井や背もたれにいろんなものが貼ってあり、やはりアジアの乗り物ではある。

適当なところでトクトクを下り、横町に入る。
左の屋根飾りのついている建物は、小さなお寺のようだ。チェンマイには、この連載の初めの方で記した大きなお寺ばかりでなく、小さなお寺も数多くある。

こんな狭い路地もあった。

お社のような小さなミニチュアお寺もあった。その後ろには、大きなお寺の木が。

何台もの車がとまっている駐車場の木の間の先には、金色の仏塔(チェディ)が見える。

タトー屋もある。
ランニング姿の若い外国人が出てきた。

アイスクリーム売りのオバさんも通る。

少し広い通りへ出ると、ふたり連れがトクトクの値段交渉をしていた。
トクトクにしろリクシャーにしろ、値段交渉も旅の楽しさのひとつだもの。

赤十字の病院もあった。その前には、国王が描かれた横に長い幕が掛かっていた。
タイでは、どのような分野であれ、国王の役割り、甚大である。

また、横町に折れると、このような風情のある木造の建物もあった。

マッサージ屋のオネエさんに、「写真撮ってもいい?」と声をかけたら、「ハーイ」って言って、ピースサインをしてくれた。

これは、別のマッサージ屋の看板。値段が書いてある。
タイマッサージは、1時間150バーツ(約500円)。足のマッサージや首と肩のマッサージも同料金。身体のオイルマッサージは、200バーツ。一番高いのは、身体のアカスリが400バーツ、ボディー・ワックスも400バーツ。でも、オイルとワックス、2倍の値開きがあるが、どう違うのかな。

貸し間あり、の看板があった。ゲストハウスだ。
ランドリーサービスと海外通話も可、とある。

ブルーハウスというこのゲストハウスは、清潔で静か、さらに、冷蔵庫とケーブルテレビ、電話付き、と謳っている。

ゲストハウスは多い。こちらのゲストハウスには、値段が記されていた。
エアコンとホットシャワー、ケーブルテレビ付きの部屋は、350バーツ(約1150円)。扇風機とホットシャワー付きの部屋は、270バーツ(約900円)。扇風機と水のシャワーの部屋なら、230バーツ(約760円)だ。
お湯のシャワーなんかいらない、水で結構、という元気な若い人たちなら、760円で泊まることができる。これでも、インドあたりのゲストハウスに較べると、2〜3倍の値ではあるが。
なお、エキストラベッドを入れると、プラス100バーツ(330円)、とも記されている。ふたりで部屋をシェアすれば、ひとり当たり550円だ。長逗留できる。

ラマゲストハウスと書いてあるこの宿の入口、ずいぶんとハデで賑やかに飾っている。
値段は解からないが、装飾費に投下した分程度は高いに違いない。

やはり、古本屋があった。
アジアの町、どこでもそうだが、安宿街のあるところには、必ず古本屋がある。何をするワケではないのだが、何カ月もの間、安宿に泊まっている若者がいるから。彼ら、持ってきた本を読み終わると、それを売り、別の本を買う。だから、安宿街の古本屋、成りたつんだ。
それにしても、このチェンマイの古本屋、キレイだ。店内、ほとんどボロボロの本ばかり、という店もあるのに。
パワーのありそうなふたり連れの女の子がいた。「あなたがた、どこから来たの?」、と声をかけた。手前の子は、スペインから、顔は見えないが後ろの子は、キューバから来たと言っていた。このふたり、おそらく、チェンマイに来てから知り合ったのだろう。知り合った後は、部屋もシェアしているのだろう。たぶん。

ここでコーヒーを飲んだ。25バーツの普通のコーヒーを。
普通のコーヒーにしろ、カプチーノにしろ、エスプレッソにしろその他すべて、アイスの場合は、5バーツ増し、となっている。

市場もあった。
ここは、魚屋。

ここは、果物屋。

このように、路上で小さな商いをしている人もいる。

このような店もあった。ジャイアント・ハウスと書いてあるが、何屋だったかよく解からない。
それより、上方は、タイの国旗と黄色の国王旗と青い王妃の旗だから、その意味合い、よく解かる。
しかし、下の方には、韓国旗などの左に、チェ・ゲバラの顔が描かれた旗がある。何故にゲバラ、とも思うが、このような場所には、やはりゲバラ、付きものなんだ。

こういう建物もあったぞ。星条旗と旧ソ連の旗が並んでいる。
星条旗には、何かの模様が描かれている。羽根飾りを付けたネイティヴ・アメリカンの横顔かな、とも思ったが、どうもアメリカの国鳥・白頭鷲を描いたもののようだ。鎚と鎌の旧ソ連旗に描かれているのは、これはもうレーニン。そう書かれてもいる。
ゲバラにしろ、レーニンにしろ、チェンマイ旧市街では、まだ現役なんだ。

驚くのは、まだ早い。
その建物の側面には、何と、フリー・チベットの旗が掛かっっていた。ヤクの骨の下に。
このように、アッケラカンとフリー・チベットの旗が下がっているのを見たのは、ネパールのボダナート以外憶えがない。
何でも受け入れるんだ、チェンマイは。平和なんだ、チェンマイ旧市街は。心が広いんだ、そこに住む人たちは。
たしかに、そうだ。
旧市街に限らずチェンマイの人、とても気持ちがいい。嫋やかだ。

そういえば旧市街の中、真っ赤なブーゲンビリアが、あちこちで咲いていた。