北泰紀行(18) チェンセーンの寺。

ゴールデン・トライアングルから20分ちょっと、チェンセーンの町がある。
チェンセーンも、”チェン”がつく町。チェンマイや”タイのガウディ”のあるチェンライと同じく、元々は、チェン(城壁)で囲まれた町だった。これ、この紀行の初めの頃に記した、河崎かよ子さんの著に教えられたこと。しかし、チェンマイに較べればはるかに小さく、チェンライに較べてもそう。小さな王国だったんだ。
チェンセーンの町に入ったのは4時過ぎ、夕刻が近いと言えばそうも言えるが、町中とても静か、人影もあまり見なかった。ここにも国立博物館があるので訪ねたが、閉まっていた。
そのすぐ近くにお寺がある。それが、このお寺であった。

ワット・チェディ・ルアン、ルアン仏塔の寺。
チェンマイでも同名のお寺に行った。ユネスコと日本政府の支援で復原された仏塔(チェディ)がある寺。日本でも、同名のお寺は多くある。そのこと、タイでも同じであろう。仏塔(チェディ)で著名なんだ、きっと。
奥に大きな仏塔(チェディ)が見える。左のトタン葺きのような屋根は、御堂だ。

こういう案内板があった。やはり、修復、改築をしてるんだ。
1.は、主仏塔、2.は、御堂、その周りに4つある3.は、サブの仏塔となっている。

半ば崩れたレンガ積みの間を通り、境内へ入る。
正面にお寺の木、トム・ポォーが見える。右手に見える屋根だけがあり壁のない建物が、御堂の入口。

境内に入ってすぐ、御堂の右手に、上部が崩れ落ちたサブ仏塔(チェディ)のひとつがある。後ろに見えるのは、主仏塔(チェディ)。

手に小さなスイカのようなものを持ったお坊さんがいた。
丸々と太ったふたりの若いお坊さん、笑顔を見せながら通り過ぎた。

御堂、屋根だけはかかっているが、前面や両側には壁がない。
雨が降ったらどうなるのか。何らかの対策はしているのであろうが。

御堂の奥には、金色に輝く本尊と脇侍。

国王と王妃の写真もあった。
プーミポン国王、現在84歳。これは、相当若い頃の写真であろう。

お坊さまが何かをしていた。両側の壁がないので、シートの間から外が見える。

御堂の左手奥のサブ仏塔(チェディ)と主仏塔(チェディ)。
仏塔(チェディ)は、いずれも下部が黄色い布で被われている。

御堂の奥、仏さまが祀られているところだけは壁があるが、御堂の3/4は、壁がない。
それ故、外から御堂内の様子が見える。

仏さまがおわす御堂奥の部分だけは、このようなレンガ積みの壁がある。

その壁のレンガの間には、つる草が根づいていた。まるで活けたよう。風情がある。

こういうところもあった。石積みの階段のようなところに。
溶けた蝋が燃えている。誰かが灯したのであろう。

外側に近い、御堂右手奥のサブ仏塔(チェディ)。
4基のサブ仏塔(チェディ)、いずれも上部が崩れ、残っている部分は、低いもので1メートル程度、高いもので3メートルあるかどうか、といったものである。サブの仏塔(チェディ)は、元々小さなものであったのであろうが。
なお、主の仏塔(チェディ)も、チェンマイの同じ名前の寺、ワット・チェディ・ルアンの仏塔(チェディ)の半分もないものである。
町の規模に応じた、寺であり、仏塔(チェディ)であったのであろう。奥ゆかしい、という感じを持った。

お寺の前にはお土産屋があった。だが、お客はほとんどいなかった。
チェンセーンの町、そして、お寺、静寂に包まれていた。あの若いふたりのお坊さんの、アクティヴな笑顔を除いては。