北泰紀行(12) 国境の町・メーサイ。

チェンライ近郊の”タイのガウディ”を見た後、一路北へ向かって走る。
1時間少しで、国境の町・メーサイへ入る。あの悪名高いミャンマーとの国境の町である。チェンマイからだと、200キロちょっと、という感じ。

国境へ向かって真っすぐに延びる道を進んで行くと、道の両側、だんだんと人が多くなっていく。

国境まで500メートルばかりの、そこそこ大きなこのホテルに入る。
入って値を聞くと、ツインルームで1000バーツだとのこと。バス付きで、お湯も出る、という。しかも、朝食付き。念のため、「部屋を見せてくれ」、というと、「もちろん」、とのこと。見せてもらった部屋、まあまあである。
ひとり頭にすると、500バーツ、1650円、上等である。OK、と返事し、ここに泊まることとした。
ホテル・ピヤポーン・プレイス。入口には漢字で、碧雅鵬大飯店と書いてあり、歓迎光臨とも書いてある。国境の町、交易の町でもある。ミャンマー人ばかりでなく、中国人も多く来るのだろう。

メーサイの町、広い表通りの両側、衣料品、食料品その他、さまざまな店が並ぶ。

通りには、国王と王妃の大きな写真もある。

商店の外側に露天の店が並び、それらが通りへ大きくはみ出している。

タイには、セブンイレブンが入っている。メーサイにもあった。その店頭に体重計があった。1回、1バーツ(3.3円)。
体重計は、アジアの国では時折り見かける。しかし、さすがタイ。ここの体重計は、精密機器、しかも、とてもキレイであった。

町中、オレンジ色の衣をまとったお坊さんの姿もある。

表通りの道端で、カゴに入れた僅かなものを商っている人もいる。
この女性、タイ人ではなく、ミャンマーの人だろう。腰にロンジーを巻いているから。

ヤキグリを売っているこの人たちも、ミャンマーの人のようだ。
おそらく、毎日、ミャンマーから国境を越え、メーサイへ稼ぎに来ているのだろう。そのように思える。

国境まで200メートル、という標識があった。

通りの突きあたりの建物が、タイの国境のゲート、イミグレーションだ。ゲートの上に見える山は、ミャンマー側だ。
漢字の看板も、あちこちで見られる。

表通りを折れ、横道へ入る。
狭い道の両側に小さな店が並ぶ。市場だ。狭い道を、バイクが走って行く。

と、”ミャンマーへの道”という看板が目につくようになる。ミャンマーへは矢印の方向へ進め、ということだ。

ここにも。

タイとミャンマー、ここでは小さな川の中間が国境だ。その川岸に下りてみた。
川幅、2〜30メートルもあるのかな、と思われる小さな川だ。特にここでは、より狭くなっていた。男の子が、魚を釣っていた。
左上に、こげ茶色にわずかに見えているのは、ミャンマー側だ。

この日の夕食は、中華料理屋で食べた。もちろん、ワインを持ち込んで。
その後、ホテルへ戻る道すがら、丸く大きな月が出ていた。夜の帳が下りた漆黒の空に。
国境の町・メーサイの月だ。
国境の町、北国ならば哀感もあろう。しかし、南国ではそういう感じは、さほどない。ましてや喧噪の中にある日中は。
だが、夜の月ともなれば、また違う。国境の町だな、という情感は感じる。