北泰紀行(13) ミャンマー入国。

今、世界中で最も評判が悪い国は、北朝鮮であろう。何とも、度し難い国である。
それに次ぐのはどこか。欧米の国にとっては、核疑惑のイランだろうが、アジアの国にとっては、ミャンマーではないか。何年か前には、日本人カメラマンも殺されているし。
何よりも、昨年末、永年軟禁状態においていた、アウンサン・スー・チーさんをやっと解放したとはいえ、軍事独裁国家。やはり昨年末、20年ぶりに総選挙を行ったが、これも通常の国から見れば茶番劇。軍事政権がいいようにやったもの。民主的なものとは、ほど遠い。
実は、そのミャンマーへ入ることを、楽しみにしていた。どんな国なんだろう、と思って。
結論を記せば、町中の様子、ごく普通の国だった。もちろん、三輪タクシーの客引きはしつこく寄ってくるし、物乞いもいる。しかし、これらのことは、途上国、その中でも、先頭グループから離されている国では、ごく当たり前のことだ。
10年近く前、まだジョージ・W・ブッシュが大統領だった頃、イランとイラク、北朝鮮の3カ国を「悪の枢軸」、と呼んだことがある。ブッシュが言う「悪の枢軸」、如何なるものか、と思い、そのすぐ後、イランへ行った。しかし、イランの人たち、皆さん普通の人たちだった。水タバコを勧めてくれたり、若い人はアメリカ文化に興味を持っていたり。どこが、「悪の枢軸」なんだ、というう感じだった。ブッシュの評判は、それだけは、悪かったが。
ミャンマーも同じ。政治体制に問題はあり、貧しい国ではある。しかし、そこに住む人たちは、ごく普通の人たちである。車の客引きは、観光客からボロウとするし、商売人は、できるだけ高く売ろうとする。ごく当たり前の途上国の様相である。

朝、ホテルの窓からミャンマーの方を撮った。
左の建物の上には、タイの国旗が立っている。その向うの山がミャンマー側だ。

タイの国境ゲート。
この中にイミグレーションがある。まず、そこで出国手続きをする。

ゲートの横には、「タイ最北端の地」と書かれた小さな門がある。
観光客が、記念の写真を撮っている。

国境の橋を渡ると、「ミャンマー連邦」と書かれた鉄の門があった。右手の旗は、ミャンマーの国旗だ。
この門をくぐり、すぐ右手に見える低い建物にミャンマーのイミグレーションがある。
ミャンマーへの入国、ここでパスポートを預ける。で、どうするか。
まず、デジカメで写真を撮られる。それがプリントされ、姓名や生年月日、国籍などが打ちこまれた”エントリー・パーミット”が発行される。入国許可証だ。ミャンマー滞在中は、これがパスポートの代わり、いわば身分証明書となる。
もちろん、タダで入国させてくれるワケはない。外国人は、500バーツ(1650円)である。前日のホテル代と同料金だ。なお、日常的に行き来しているタイ人は、20バーツだそうだ。
ミャンマーにとっては、外国人から徴収する500バーツ、貴重な外貨収入であろう。それもあってか、ミャンマーのイミグレーションの係官、とても愛想がよかった。

ミャンマー側の国境の町、タチレイの町だ。
これは、入ってすぐの通り。

タイのトクトクに較べ、ミャンマーの三輪タクシーは汚いな。客引きが多く寄ってくる。

少し歩くと、商店街がある。

商店街の中、人が多い。バイクも多い。

ここも。

こういう店があった。大きな店で何でも売っている。
ミッキーマウスのついたランドセルのようなものから、右下のものは魔法ビンのようだし、仏具もあるし、その下にはドラのようなものもある。そのためか、お坊さんも来ている。

ここは、時計屋兼サングラス屋。
すべて、一流ブランドだ。だがしかし、すべて、コピー商品。もちろんのこと。

この人は、移動サングラス屋かな。

さすが、仏教の国・ミャンマー。タチレイの町でも、お坊さんの姿は多く見かける。
この女性は、喜捨をした後、手を合わせ拝んでいた。
しかし、タチレイの坊主、このようなお坊さんばかりではない。若い坊主の中には、喜捨を強要してくる坊主もいた。まだ修業が足りないのか、あるいは、オレンジ色の衣に身を包んではいるものの、何か別の理由があるものか。複雑だ。

坊主でさえ、中にはそのようなヤツがいるのだから、このような少女もいる。
物乞いだ。小さな手を差し出している。バクシーシ、インドあたりでは、あちこちで目にするものだが、久しぶりで目にした物乞いの光景、少し心が痛んだ。

ミーティングポイントに戻ってきた。人が多い。

出国するための、ミャンマーのイミグレーション。
タイ人と外国人は、外側の方へ、と矢印がついている。

ツーリストは出国前にレポートを、という看板がある。
ここで、ミャンマー入国時にもらったエントリーパーミットを返し、預けたパスポートを受けとる。

朝通ったミャンマーの門。その右手にタイのイミグレーションの建物が見える。

国境の橋。
左から3本目まではタイ国旗が立っており、4本目から先はミャンマーの国旗が立っている。その3本目と4本目の間が国境線だ。
おじさんが、箒で掃除をしていた。タイ側を掃いていたが、まさか、タイ側だけを掃除しているのではなかろう。国境線など、目に見える形で引いてあるワケではないので、橋全体を掃除しているのだろう。単に、橋の掃除として。

タイ側のイミグレーション。ここで、タイへ再入国。
短時間のミャンマー散歩であった。