北泰紀行(7) チェンマイの富士山。

チェンマイに富士山があった。
中心部から少し離れたところに、「フラワーパーク」がある。多くの人が来ている。園内は広い。だから、循環バスで見て回る。
園内、いろんな国の名前が書いてある。どうも、以前に「花の万博」のようなものをやり、その跡地を花の公園にしたもの、と思われる。

「フラワーパーク」の入口。
お寺を模した建物の前には、やはり、タイ。ゾウさんと、ナーカーとかマカラーとか呼ばれる不思議な動物の彫像がある。3日前、「ワット・チェディ・ルアン」で触れた、お寺の御堂や仏塔(チェディ)の前に立つ、魚のような鱗を持ち、蛇とも龍とも見える、想像上の動物が。
右手には、タイ国旗と黄色い国王の旗が、当然ある。

小ぶりな睡蓮が、紫色の花をつけていた。

ここにも。
水面に、周りのよく刈りこまれた小さな木が写りこんでいる。

園内、広い割には、さほど花が咲いているワケではなかった。しかし、手入れはよくされている感じで、とてもキレイである。
大きな葉は、オニバスであろう。蓮好きの私には、美しく見える。

こういう木立のところもあった。南国の木であろう。

ジャパンと書いてあるところで、循環バスを降りた。そこに、富士山があった。高さ5メートルばかりの。
前面の池には、石が配され、池の上には、木の橋が右手の四阿(屋根の端が、わずかに写っているだけだが)の方へ延びている。左の方に小さく白く見えるのは、石橋である。だから、回遊式庭園だと言えば、そう言えなくもない。
富士山の麓には、石燈籠もある。よく見ると、宝珠は尖っていないが、笠も火袋も中台もある。竿の部分は省かれているが、このようなことは、日本の石燈籠にもままあることだ。
それにしても、チェンマイに富士山があるのには、驚いた。5メートル程度の小さな築山なので、富士塚である。
江戸時代、富士山信仰の富士講が盛んであった頃には、江戸ばかりでなく、関東一円に何百もの富士塚が造られた。今の日本で、新たに富士塚を造るなんてことは、ないであろう。ところが、遠く離れたチェンマイでは、それが造られた。
ただ、チェンマイの富士塚は、芝生で覆われており、”ありがたみ”には、ほど遠いものではあるが。