大相撲。

相撲のこと、ここ何か月か、ほとんど触れなかった。
6月に野球賭博問題が表面化し、何とか特別委員会とか、何とか対策委員会とかができ、その人たちが表面に出てきてから。確かにその人たちは、仲間内で固まる閉鎖社会を開いていった、と思う。しかし、どこかしっくりとした感じを受けなかったのも事実。
その間、琴光喜と大嶽親方が解雇され、多くの力士や親方が、謹慎、降格処分を受けた。NHKは、名古屋場所の中継を取り止めた。ダイジェストは流したが、前後を端折った放送など面白くなく、ほとんど見なかった。何かあるたびに、文科省へ頭を下げに行く協会幹部の姿も、見ていられなかった。もちろん、その原因は、協会側にあるにしても。
理事長も変わった。武蔵川から、間に、元東京高検検事長を挟み、放駒に。放駒の名は、一連の騒動の中、長く大相撲の世界を見てきた人の口から、協会の親方の中には放駒がいる、この人はできる、ということが出ていた。協会の切り札としては、彼しかいなかったろう。元大関の魁傑だ。
昨日幕を開けた9月場所、NHKも中継を再開した。初日恒例の理事長の挨拶、放駒は、まず謝罪の言葉から始めた。今は、相撲界の危機であると認識している、とも。客席も空いていた。人気商売である大相撲、着実に一歩一歩、と放駒は考えているようだ。
土俵の上は、昨日、今日、案外面白かった。特に、初日の昨日は、熱戦が多かった。十両の最後の取組みとなった、雅山と豊ノ島の一戦、そして、中入り後、結びの白鵬と鶴竜の一戦、この二番は見応えがあった。
前場所全休扱いとなり、十両に落とされた元大関と元関脇の対戦、両者共そんなことは微塵も感じさせないせめぎ合いだった。結局、豊ノ島が勝ったが、両者共、相撲取りは、土俵に上がってナンボの世界を見せてくれた。本人たちも、そう思っているだろう。
結びの白鵬と鶴竜戦も、見応えがあった。鶴竜は、私が買っている力士のひとりであるが、ここ何場所か精彩を欠いていた。しかし、昨日は白鵬に対し善戦した。両者巻きかえの応酬の後、最後は、白鵬が外四つながらグイと寄りきって勝った。だが、鶴竜の相撲も大したものだった。
白鵬は、今日も勝ち、これで49連勝。今場所中に、千代の富士の53連勝の記録を抜くのは、ほぼ確実。4場所連続の全勝優勝も、その確率9割はあろう。気をつけるべきは、把瑠都と日馬富士のふたりだけ。
把瑠都は、今日早くも負け、まだまだ大味。残るは、今日も押しこまれながら、すそ払いの奇手で勝った、反射神経の抜群にいい日馬富士ひとりとなるだろう。
久しぶりに、相撲に身が入る。