鬼気迫る顔。

夜、何気なくテレビを見たら、”皇軍慰問「わらわし隊」”という画面が出てきた。
その内、森光子が出てきた。90歳。今、最も鬼気迫る顔を持つ人だろう。
去年、国民栄誉賞を受けた時も、森繁久彌が死んだ時も、春の園遊会で天皇と言葉を交わす時も、いつも、鬼神が乗り移ったという顔貌であった。今日もそうであった。瞬きひとつせず、前を見据えていた。
森光子、こう言っていた。
「戦争は、何も残さない。ねえ、そうでしょう」、と。鬼気迫る顔で。