欧州列強、苦戦。


今、グループF、イタリア対ニュージーランド戦が終わった。1対1の引き分け。
イタリアは、前回、ドイツ大会の優勝国。今回も優勝候補のひとつである。しかし、そのイタリア、今日のゲームを入れ、2戦して勝ち点2。つまり、2引き分け。勝てない。
たしかに、今日のゲーム、圧倒的に押していた。ボール支配率も7割近かった。コーナーキックを15本もとっていた。シュートも21本打った。だが、点が入らない。得点は、ペナルティーキックの1点のみ。
イタリアは、FIFAランク5位。ニュージーランドのランクは78位、日本の45位より下だ。この引き分け、イタリアにとっては、負けに等しい。イタリアの監督、試合後に、「運がなかった」、と言っていたそうだ。
それにしても今回のワールドカップ、欧州の列強が苦戦している。
優勝候補筆頭と言われていたスペインが、初戦で敗れた。前回の準優勝国・フランスは、2戦して1分け1敗。得点は0。1次リーグ敗退の恐れが濃厚、首の皮1枚でかろうじて繋がっている、という状態。世界のストライカー・クリスチアーノ・ロナウドを擁するポルトガルも、まだ1戦だが、勝てなかった。引き分けた。ドイツも、1勝1敗。イングランドも、2戦して2分け、勝てない。2戦で、1得点しか決めていない。
これらのヨーロッパの強豪国、スペインにしろ、フランスにしろ、ポルトガルにしろ、ドイツにしろ、イングランドにしろ、そして、今しがたFIFAランク78位のニュージーランドと引き分けたイタリアにしろ、すべてFIFAのランキング1桁の国々である。欧州の列強、揃いも揃って苦戦を強いられている。唯一、日本と同じグループのオランダを除き。
そういう現実を知ると、日本も何とかなったのじゃないか、と思わずにはおれない。昨日のオランダ戦、勝ちにいけたんじゃないか、と。他の格下の国々が、欧州の列強を苦しめているんだから。日本も、と。
そう言えば昨日、勝ちにいく戦略も、と書いたが、その場合の勝つ確率を記すのを忘れた。
岡田武史がとった、前半は守りに徹す、という戦略の確率は書いた。負ける確率6割、ドロー3割、勝つ確率1割、と。これを、前半から前がかりでボールを取りにいき、点を取る、という戦略をとった場合、勝つ確率は、2割に上がる。しかし、負ける確率も7割となろう。ドローの確率は、1割、であろう。いずれも、何の根拠もない、素人の感覚的なものだが。
リスキーな戦略、勝つ確率も上がるが、負ける確率も高くなる。だがしかし、その方が面白い。
イビチャ・オシムが、1990年のワールドカップ、イタリア大会の初戦にワザと負ける布陣を敷いた、という記述の出典を記すのも忘れた。
木村元彦著『オシムの言葉』(集英社インターナショナル刊)である。5年近く前に書かれたものであるので、オシムがまだ日本代表の監督になる前、ジェフ市原の監督時代のものである。もちろん、脳梗塞で倒れる前。
オシム語録、その時々に世評を賑あわせていたが、オシム、単なる警句家ではない。旧ユーゴスラビアという、複雑な国の最後の代表監督を務めたオシムのバックグラウンドがよく解かる。