キャプテン・C.ロナウドとチョン・テセ。


終わってみれば、7対0。FIFAランキング世界3位のポルトガル、ランク三桁、105位の北朝鮮を完膚無きまでに打ち破った。
雨中の決戦、スリッピーなピッチ、実力差以上の大差となった。経験の差が大きかった。特に、ゴールキーパーに。
ポルトガルのキャプテンマークは、クリスチアーノ・ロナウドが巻いている。
初戦では不発だったが、ロナウドの弾丸シュートに期待していた。フリーキックでの矢のように放たれる無回転弾丸キックを。今日のロナウド、FKでの無回転シュートは見られなかった。しかし、ゲームキャプテンとしての役割は、十分に果たしていた。
北朝鮮の炎の男、チョン・テセのドリブル突破からの一発も見たかった。チョン・テセ、何本もシュートを打ったが、枠を捉えることはできなかった。
このゲームの中継はフジテレビ。その画像から。

試合開始前、国歌を聴くクリスチアーノ・ロナウド。25歳。
昨年夏、英国プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドからスペインリーグのレアル・マドリードへ移籍した時、レアル・マドリードがマンUへ払った移籍金は、8000万ポンド、時の為替レートで128億円だった、という。あのジダンを抜き、史上最高額だった。
弱冠25歳にして、今、最も金のとれるフットボーラーである。

国歌を聴くチョン・テセ。26歳。
初戦、ブラジル戦の国歌斉唱時には、大粒の涙をボロボロ流し、その映像が世界中のテレビで流されたというが、今日は、静かに目を閉じていた。


前半29分、ポルトガルがゴールを決め、先制、1対0で折り返す。
北朝鮮、前半は防御の布陣を敷いていたが、ここぞというところでは攻め上がる。シュートも多く打つ。
しかし、後半に入ると、ポルトガルがたて続けにゴールを決め3対0とする。と、後半13分、北朝鮮は、攻撃のプレイヤーを2人投入、点を取る布陣とする。防御が薄くなろうとも点を取る、という布陣に。
その直後、ポルトガルは、クリスチアーノ・ロナウドの絶妙なパスで加点。ゲームキャプテン・C.ロナウド、さすがキャプテンの働きを果たす。C.ロナウド、自らシュートを打つか、と思うところで味方の陣形をよく見ていてパスを出し、さらに加点、5対0となる。
そのあたりのC.ロナウドの顔。やや歪んだ表情である。
チームがこれだけの得点をあげているのに、オレのゴールがない。ゲームキャプテンとして、得点には絡んでいるが、オレ自身のゴールがない。世界のストライカーであるオレの。オレにもパスを出せ、と思っていた、と思われる。この歪んだ顔を見ると。

後半の半ば頃のチョン・テセのシュート。
ゴールには至らなかったが、チョン・テセ多くのシュートを放っていた。
このゲーム、シュートの雨を降らせたポルトガルのシュート数は、26本。対して、北朝鮮が放ったシュート数は、15本。翻って、日本が2戦で放ったシュート数は、合計で15本。北朝鮮、いかにアグレッシブに闘ったかが分かる
チョン・テセ、ガチンコで勝負をかけ、ゴールを狙いにいっていた。

後半42分、C.ロナウドが、ついにゴールを決めた。
まったくトリッキーなゴールだった。つま先で蹴ったボールを首の後で受けた。リフティングをしているような映像である。

こういう形。この後、落ちてくるボールを柔らかく蹴りこんだ。
私ばかりでなく、世界中が見たいと思っていた弾丸シュートではなかったが、技ありのシュートであった。並みの選手ではできないシュート、さすが、ロナウドだ。
世界のC.ロナウド、ここまで代表ゲームとしては、1年4カ月ゴールがなかった、という。ホッとしただろう。

本来の弾丸シュートでなく、技ありシュートであった為か、シュートを決めた後のC.ロナウド、苦笑いをしていた。

試合後のチョン・テセ、こういうことを言っていた。
「後半は、集中力が切れてしまった。このような結果になってしまい、残念です。1996年大会のリベンジをしたかったのですが」、と。知らなかったが、44年前のW杯イングランド大会の折り、北朝鮮はベスト8まで勝ち進んだが、ポルトガルに逆転で負けたのだ、という。
ポルトガルのキャプテン・C.ロナウドもよくやったが、北朝鮮のガッツ男・チョン・テセも奮闘した。
日常の世界では、問題ばかりの北朝鮮であるが、チョン・テセには、感謝状の1枚でも出したらどうか。