私も退きます。幹事長、貴方も。

一昨日の夜、”今頃、小沢、酒を飲みながら”こんなことを考えているんじゃないか、と思い、そうも書いたが、鳩山も、酒を飲みながら考えていたようだ。
小沢は、もちろん日本酒を。鳩山は、ウイスキーかブランデーだろう。私は、焼酎のお湯割りだった。
そんな碌でもないことより、つまるところは、普天間と政治と金の問題だった。自らが播いた種だとはいえ、鳩山、追い込まれた。
普天間の移設、ひいては米軍基地の問題、現実策として、誰がどうできるか。沖縄の人には申しわけないが、今、県外移設などできるわけがない。国家権力で各都道府県へ米軍基地を強制配分、反対運動に対しては機動隊を動員、死傷者がでることは覚悟の上、基地を建設し沖縄の負担軽減をはかる、そんな腹の据わった政治家や政党はあるか。ない。
今は、辺野古、沖縄以外にない。米軍の抑止力を、肯定するとすれば。口の軽さは、別の問題だ。今日の演説の済州島でのヒヨドリのくだりも、鳩山らしいエピソードではある。だが、自宅の庭に小鳥が飛んでくるなんて家がどれだけあるか。国のトップとしてのバックグラウンドの問題であり、資質の問題である。
だから、それは言ってもはじまらない。この国、鳩山、麻生、福田、安倍、日本は、政権は変わっても、この4年間そういう人を国の舵取りに選んできたのだから。
暫く前に書いた記憶があるが、米軍基地の問題、現実策として、今は沖縄で致し方ないが、それと同時並行で、海外移転をアメリカと折衝すべきである。東アジアの情勢を検討、研究し、アメリカと。10年、20年、もっと長くかかるかもしれないが。
米軍の抑止力を認めない人は、別である。しかし、国民の大多数は、米軍の抑止力を認めているであろう。それならば、口の軽さだけで鳩山を叩き、政権交代を否定するのは如何なものか、とも考える。
「私自身も職を退かせていただくが、幹事長も恐縮ですが、職を退いてもらいたい」、との鳩山の言葉、それを聞く臨時両院議員総会での小沢の憮然とした顔、印象深かった。
鳩山、小沢、共に無念であったろう。
小沢一郎は、日本の典型的なヒール。その顔貌といい、ぶっきら棒で横柄な態度といい、ヒールの条件を充たしている。日本が生んだトリックスターのひとりだと考える。彼がまだ自民党にいた時代、40代で自民党の幹事長に登りつめた時代、橋本龍太郎と競った一龍時代、私は秘かに、小沢を日本のトップに据えたいと思っていた。ヒール好きなんだ、私は。だが、儚い夢だった。
小沢一郎、古い自民党の体制を壊すことに執念を傾けていたが、その小沢が、古い自民党の体質を持ち、古い自民党の手法を持つ男であることに、どうにもならないやり切れなさを持つ。
鳩山由紀夫、その小沢を切った男として、記憶に残るかもしれない。