五月場所三日目。

朝青龍が去って2場所目となるが、大相撲、何事もなかったかのように、平穏である。
3日目の今日も、白鵬は、まったく危なげのない、別次元の相撲を取っている。
初日こそ固くなってるな、と感じた新大関・把瑠都も、順調に3連勝した。昨日は、立会い、豊真将の変化に、一瞬ヒヤリとしたが、さほど慌てなかった。今日も、腰の思い琴奨菊を、グイと寄り切った。下位には負けない、という自信を持ってきたな、という感じを受ける。
場所前の、横審委員の稽古総見でも、その好調さが目立ったという稀勢の里も、初日から3連勝。期待が持てる。
日馬富士や把瑠都に先を越されたが、何といっても、次の大関候補の一番手は、稀勢の里なんだから。そうじゃなければ、そのうち横綱、大関、全員が外国人になってしまう。それでもいい、ということも思うが、やはり、寂しい、とも思う。そのためには、稀勢に頑張ってもらわなけりゃ。
今や、高卒や大卒が当たり前、となっている大相撲力士の中、稀勢の里は、珍しく中卒で角界へ入門している。平成14年3月場所で、前相撲を取り、平成16年11月場所には入幕、新三役には、平成18年7月場所に上がっている。素晴らしいスピード出世だ。
しかし、その後は、三役と前頭上位を行ったり来たり、という状況が続いている。3〜4年前から、次の大関候補の筆頭と言われながら。次々とライバルに抜かれて、ファンをやきもきさせている。
188センチ、170キロの体躯は、申し分ない。朝青龍と睨みあっても負けなかったガッツもある。左四つの型も、持っている。だからこそ余計に、ファンは、どうして稀勢は、三役に定着できないんだ、そこで二桁勝星を続けられないんだ、と思ってしまう。特に、新しい日本人大関を待ち焦がれている人は。
その稀勢の里、今場所の滑り出しはいい。まだ3日目の段階で、こんなことをいうのは早いのだが、今場所の稀勢、11〜12勝するのでは、と思っている。そうしてくれ、稀勢の里。
それはそれとして、今日の一番は、琴光喜と豊ノ島の一番だった。連敗スタートの琴光喜、今日は、凄い相撲を取った。
豊ノ島の分厚い胸に、頭からガツンとぶちかまし、寄り切った。その琴光喜の立会いのぶちかまし、凄かった。惚れ惚れとする、ぶちかましであった。
話に聞くだけで目にしたことはないが、世が世なら、粋な芸者衆の羽織が、ヒラリヒラリと土俵の上に舞ったのじゃないかな。