東京駅のマーク・ロスコ。

東京駅の丸の内口に、ロスコ・ロードがある。ロードというには小さな道なので、レーンとかパスウェイとかいう方が、正確なのだろうが。いずれにしろ、ロスコ通りである。
もちろん、正式な名前ではない。第一、名前など付いていないであろう。今、復元工事中の工事現場を囲っている、金属のパネルに挟まれた小さな通路にすぎないのだから。私が、勝手にロスコ・ロード、と呼んでいるだけだ。
その金属の囲いに、貼ってあるのか直接転写してあるのか、丸の内口の赤レンガの駅舎の写真などが続いている。オッ、ロスコじゃないか、と思う。それが、鈍い赤褐色なんだ。だから、余計にマーク・ロスコの「シーグラム壁画」、を思わせる。こんなバカなことを考えるのは、私だけかもしれないが。
1958年、マーク・ロスコは、マンハッタンのシーグラムビル内の超高級レストラン「フォー・シーズンズ」からの依頼で、30点の絵画作品を制作する。最高級の料理と、最先端の現代アートのコラボだ。後に、「シーグラム壁画」と呼ばれる作品である。
しかし、その作品は、フォー・シーズンズには納入されなかった。フォー・シーズンズを見たマーク・ロスコが、契約を破棄した。おそらく、超高級ではあろうが、そこに、ロスコからみれば、何らかの俗臭を嗅ぎとったのであろう。ロスコの作品を見れば、そう思う。
1970年、ロスコは、その内の9点をロンドンのテート・ギャラリーに寄贈し、自死する。
今、その作品は、テムズ河畔のテート・モダーン(凄い美術館である。2年半前に観に行ったが、近現代アートでは、パリのポンピドゥーや、ニューヨークのMoMAやホイットニー美術館を凌ぐ、と感じた。もちろん、東京の東京都現代美術館や大阪の国立国際美術館など、比較にならない)の「ロスコルーム」にある。
1990年、佐倉の川村記念美術館が、「シーグラム壁画」の内、7点を購入した。
この川村記念美術館も、テート・モダーンなどとは比較はできないが、素晴らしい美術館である。最初のコレクションが、長谷川等伯の「烏鷺図」だというのだから。
レンブラントや、印象派、ピカソやブラック、また、ダダやシュールの作品もあるが、ジョゼフ・コーネルやフランク・ステラといったコンテンポラリー・アートのコレクションに力を入れている。
もちろん、マーク・ロスコの「シーグラム壁画」の作品7点は、「ロスコルーム」を造り、ロスコの作品のみの展示、別格の扱いである。
ここで、困った。
実は、私がロスコ・ロードと呼んでいる、東京駅丸の内口の工事の囲いにある写真がアップできなくなった。
元の写真は、3枚あった。赤褐色の赤レンガの建物の写真が。私が、オッ、ロスコじゃないか、と思った写真が。実は、それをよりロスコ風に加工した。10枚ばかり。その中の5点ばかりを載せようと思って。ところが、それぞれの最後の加工写真しかアップロードされない。たった、3枚しか。
どこかで、操作を間違えたのだろう。元の写真も載せられない。参ったな、と思っているが、仕方がない。それだけとなるが、それを載せよう。


これはまだ、元の赤褐色の色合いを残したもの。赤レンガの駅舎もおぼろげながら残っている。
ロスコの作品、こういう色調のものもあったな、と思い、何枚か加工した。
しかし、これしかアップできなかった。私の操作ミスだ。他にも、ロスコらしい面白くできたものもあったのだが。
これがアップできてよかった。
この形態、色づかい、ロスコらしいものな。輪郭の滲みも、ロスコの作品らしいし。
元のロスコ・ロードの写真も載せ、加工したロスコ風のものも5〜6点載せ、と考えていたが、私の操作ミスで叶わなかった。残念だが、仕方ない。
佐倉の川村記念美術館、暫く行っていないが、また行こう。日中は、1時間に1本ぐらいしかバスの便がないので、不便な所なのだが。