若葉。

心地よい、若葉晴れの日であった。楽しく、心豊かになる一日であった。
木々の若葉が、目に眩しい。若葉は、新しい門出を思わせる。青葉・若葉というが、一斉に芽吹いたような気がする新緑、とても新鮮な感じを受ける。とても美しい。さらに、これから人生を切り拓いていくのだ、といった力強さも合わせ持つ。
青空の下、ケヤキを見上げると、黄緑色の新緑がいっぱい。

若々しい葉の色、古い言葉で言えば萌葱色であろう。それよりやや黄味が勝った鶸色の葉っぱもある。
柔らかな光に輝き、初々しくもあるが、これから如何様にもなる可能性を秘めている。この季節、そういう時期、若葉時なんだ。

中には、てっぺんの方がこのような状態の木もあった。
あちこち新芽が芽吹いているところもあるが、全体ではない。飛び飛びに芽吹いているので、かえって若葉萌えという言葉がピッタリのようにも感じるし、下から見ると、高いところにある鳥の巣のようにも見える。
造形的には面白いが、生物学的、植物学的には、何らかの理由があるのかもしれない。しかし、私だけが知らないだけで、このようなことは、別に珍しくも何でもないこと、当たり前のこと、ということだろうが。おそらく。

だが、ほとんどの木のてっぺんは、このようなもの。新樹、と呼ぶにふさわしい。なお、前方の花は、ハナミズキ。
新緑が豊かに繁る。萌葱色や鶸色の若葉が。当然のことながら、その中間の鶸萌葱の葉っぱもある。
瑞々しい若葉、これから力強さを増し、どんどん伸びていくだろう。
青葉若葉の句、鍵和田秞子監修の『花の歳時記』(講談社刊)から、3句引く。
     絶頂の城たのもしき若葉かな     蕪村
     目ぶたより暮れて青葉の仏たち    小田切輝雄
     日の新樹雨の新樹と色重ね      稲畑汀子