核セキュリティーサミット。

昨夜遅くから、米国が主催する核セキュリティーサミットが、ワシントンで始まった。
47カ国の首脳が、出席している。不思議なことだが、これだけの国が参加するサミットが、アメリカで行われるのは、65年ぶりだそうだ。ニューヨークの国連の場に、百何十カ国の首脳が集まるのは、いわゆるサミットととは、別の範疇のものなのだな、どうも。
サミットに先立ち、オバマは、多くの公式の首脳会談を行っている。メドベージェフや胡錦濤とはもちろん、、インドや南アフリカやウクライナ、その他の国々の首脳との公式会談を。胡錦濤とは、1時間半もの時間を取っている。
しかし、鳩山由紀夫が望んだ公式の会談は、体よくいなされた。かろうじて、夕食会でオバマの隣席を与えられたのみ。その場で、非公式に話してくれ、ということだ。10分間のみ。一向にはっきりとしない普天間のことを、くどくどと話されても、時間の無駄だ、ということなんだろう。努力している、頑張っている、解かってくれ、ということだけなんだから。
それでも鳩山は、その10分間に、「普天間の移設問題、努力している」、と言い、「沖縄の基地負担を軽減することが、日米同盟を持続的に発展させていくために必要だ」、とも言ったようだ。そのことは、良い。多くの日本国民も、そう思っているだろう。しかし、時間が切られている今、その言葉にインパクトはない。
鳩山が、何度も口にしている、「県外は難しいが、沖縄県民からすれば、県外が望ましい、という気持ちを大事にしたい。その中で頑張っている」、という言葉に較べれば、はるかにいいが。”難しい”が、”大事にしたい”、というのは、はっきりいって、よく解からないもの。”だから、どうする”、ということが、無いんだから。
今さら言っても遅いが、大体できもしないことを、マニフェストに謳うこと自体間違っている。民主党の約束事、そういうことが多いんじゃないか。だから、支持率がガクガクと落ちていく。目標や理念、といった長期ビジョンと、実現可能な短期の現実策、とをごちゃ混ぜにしているところがある。
普天間の移設問題にしても、沖縄県民の方々には、まことに申しわけないが、短期的には、前政権までが決めたことを踏襲してもよかったんじゃないか。国家間の合意事項でもあったし。その上で、基地問題、また、日米同盟の問題、1〜2年といわず、せめて3〜4年ぐらいの長期スパンで、じっくりと、検証、研究、検討をすればよかった。現在、そして、将来の世界情勢を見極めて。
それはともかく、今回の核サミット、そのメインテーマは、核テロ対策だという。
核を用いたテロが、現実のものとなってきたのだろう。十分あり得ることだ、と思う。放射能を撒き散らすダーティー・ボムどころか、核爆弾が使われることも、そう遠いことではないのではないか。高濃縮ウランなんて、核兵器保有国ならずとも、世界中あちこちの国にあるんだから。まず初めに標的にされるのは、アメリカかロシアであろうが。
そういえば、今回の核サミット、イランと北朝鮮は、参加していない。正確にいえば、招待されていない。この両国、たとえ招かれても、来るかどうかは、分からないが。インド、パキスタン、イスラエル、核のダブルスタンダードを認めての、核サミットなんて、チャンチャラおかしい、と考えているだろうから。
だが、これからの世界の核情勢、イランや北朝鮮といった国ばかりでなく、国家という範疇を超えた、目に見えぬ組織の問題になっていることは、確かなのであろう。アルカイダばかりじゃなく。
オバマも、メドベージェフや胡錦濤あたりとだけ話をすれば、ということでは済まなくなってきたのだろう。
先ほど始まった2日目(といっても、2日間のサミットなので、最終日であるが)の、全体会議の冒頭の演説で、オバマは、次回、第2回目の核セキュリティーサミットは、韓国のソウルで開催したいと提案、満場一致で決まったという。全体会議の最初の演説者は、李明博であったらしいし。何やら、象徴的な感じもするな。