アートフェア東京。

天気が良くないので、行こうか行くまいか、どうしようかな、と思っていたが、夕刻、行った。今日は、遅くまで開いているので。
今年で5回目となるアートフェア東京、古美術からコンテンポラリーアートまで、今年は138の画廊が出店しているそうだ。去年も行ったが、面白い。平和島の骨董市と同じくらいに面白い、と言ったら、アートフェア東京の主催者に怒られるだろうが、出店ブースの多さもそうだし、店の人と何やかや話をして歩くのも、よく似ている。
中には、作家自身がブースに詰めていることもあるので、彼らと話すのも楽しい。まあ、子供が好きなディズニーランドと、同じかもしれない。

有楽町の東京国際フォーラム。この下、丁度、木の植わっている地下が、アートフェアの会場である。

ピンボケ(これでも、何度かシャッターを押したんだが)もいいところだが、この何とも不思議なロゴ(右下のロゴと合わせ)がないと、アートフェア東京らしくないので、載せることにした。

会場内は、撮影禁止。これは、帰る時、会場の外、エスカレーターを上がったところから撮った。
9時の閉場間際ということもあろうが、こうしてみると、あまり人は多くはないな。

何にも買わなかったが、あちこちでくれるパンフレットは貰ってきた。

Japan Times のブースもあり、今日の紙面、このようなパブリシティー記事を載せている。
写真の掛け軸は、「釈迦十六善神」。古美術を扱う画廊「祥雲」の出品作。南北朝時代のもので、退色も少なく、コンディションはいい。因みに、「これは幾らか」、と聞いてみた。500万だという。少し拍子抜けした。もっとするもの、と思っていたので。
もちろん、私の場合は、買う買わないの埒外だが、「それなら、初めから値を付けとけば、買う人もあるだろうに」、と言うと、「あの奈良時代の経文の断簡も、80万なんだが、売れない」、と言っていた。
「じゃあ、この仏画の軸、売れなければどうするのか」、と祥雲のオーナーに聞くと、「私が死ぬまで持っていることになるでしょう」、と言っていた。彼は、まだ40前後、この軸は、死ぬまでにはきっと売れるな、と思った。「店の方にもきてください、買わなくたってもいいんですから」、と言っていた。その内、銀座に出た時には、寄ってみよう。感じのいい男であった。
実は、私が、貧乏人のくせに、少し拍子抜けした、と書いたのには、ワケがある。その少し前に、北斎を扱っている画廊のブースを見たからなんだ。
北斎の春画が、10数点並んでいた。和服を着た初老の婦人、「今は、こうして並べることができるようになりました。まだまだ春画は安いですよ」、と言う。初刷り、だと言う。「何部くらい刷っているのか」、と聞くと、「おそらく、200部くらいではないでしょうか」、と言う。値は、20万だった。
その横に、六曲の小ぶりな屏風があった。北斎の肉筆画である。値を見て驚いた。4500万となっていた。だが、それでは終わらなかった。
その隣りに、軸装された肉筆画が掛っていた。北斎の美人画が。その値を見て、また、驚いた。何と、1億3000万となっていた。
「これは、1億3000万と書いてあるのですよね」、と言うと、「はい、そうでございます」、と画廊主は、答えた。値を見た後は、少し下がって、眺めていた。
画狂老人と称した北斎、べらぼうな数の作品を残した。これじゃ、その全てを合わせると、何千億もになるな、と思った。日本が誇る北斎だものな、とも思ったが。


こういう作品もあった。青木画廊が出品していた。江本創という作家の作品。標本作品というそうだ。
河童だ。青木画廊のパンフを複写した。たしか、20万となっていたように思う。
紙で創られているという。この他にも、魚や、蜥蜴や、人間の骸骨もあった。


上の写真は、大分ぶれているので、一匹だけ拡大するとこうなる。
まさに、河童の干物だな。
河童というものは、いるのかいないのか、私は、よくは知らないが、こうして干物があるからには、いるのであろうな。
その他、印象に残った作品は、国府理の「パラボリック・ガーデン」、という作品。電動式のパラボラアンテナに、小さな柳の木や雑草が植わっている。生きている植物だから、水をやる必要がある。80万となっていたが、枯れたら枯れたで、それも作品、ということだろう。
ペティボーン(私は、初めて聞く作家)の小さな作品も、面白かった。A.ウォーホルの1962年のマリリンを、1972年に、複写している。
それが小さいんだ。画廊の人が、メジャーで測ってくれたのだが、天地3センチ、左右2センチほどしかないんだ。まるで、切手みたいな大きさしかない。値は、250万となっていた。
私には、もちろん、手が出るものではないが、もし、ゆとりがあるならば、手に入れたいものだな、と思う作品であった。
ただ見るだけ、のアートフェアであったが、面白かった。