八重洲から銀座7丁目の桜。

東京駅の八重洲口、真ん前の中央通りから、日本橋方向へ2本入った通りが、さくら通りである。
さほど広くない通りで、道の両側そう大きなビルもなく、企業の事務所もあるが、飲み屋や食べ物やなども入り混じっている。この一帯は、いずれ再開発されることになるのだろうが、ここ暫くの間に、やや無機的なオッシャレーな街に様変わりしている丸の内側と異なり、ひと昔前の都会地、といった感じが残る。
そのさくら通り、名前の通り、さくら並木が続く。道の両側、150本ほどのソメイヨシノが植わっているそうだが、いずれも、そう大きな木ではない。夕刻、銀座へ出る用があり、その前に見に行ったら、7分咲きという感じであった。

外堀通りから入ってすぐの、さくら通り。立派なさくら並木だ。

少し歩くと、ややポツン、ポツン、という所もあるが。
しかし、これも、かえって街中の桜、という感じだ。木は、いずれも通りにふさわしく、小ぶりである。

7分どころか、案外咲いている木もあった。
右へ折れ、銀座方向へ、ゆっくり歩く。

外堀通りの首都高をくぐった所、銀座1丁目のとっかかりにあたる所に、桜の木が1本あった。やはり、7分咲き程度の。
今日は、とても寒く、ヒョロリとした桜の木、寒空に震えていた。たった1本だけで立っている、ということもあるんだろう。花はそこそこ咲いているのだが、ほんとうに、寒そうな感じであった。

その首都高の脇を、銀座中央通りの方へ歩いていくと、通りに出る手前に、6〜7本の桜木があった。
これは、7〜8分かなと思うが、既に、散っている花弁もある。6〜7本とはいえ、仲間がいる為か、こちらの桜は、さほど寒そうではなかったな。
なお、正面の鋭角的な建物は、ホテル西洋銀座。西武が元気な頃造られた。小さいながらお洒落なホテルといわれたが、今は、どこの系列となっているのであろうか。
それはともかく、今日の主目的は、7丁目の画廊。そこまで、ゆっくりと歩いて行く。
その途中、桜の木は、見なかった。それより、3月末ってこんなに寒かったかな、と思うほどに寒かった。
7丁目の渋谷画廊での、SENSE展のオープニングへ。学生時代の仲間の一人が加わる、女流ばかりのグループ展。
長年知合いの彼女、”イヤー、こんなに冷たい手をして”、と私の手を両手ではさみ、温めてくれ、他の出品者にも、次々と、”温めてあげて”、と言ってくれる。結局、3〜4人のぽってりとした姥桜(もちろん、かっては、可憐な八重桜、であったであろうことは、重々承知ではありますが)の皆さまから、十分手を温めていただき、人心地ついた。それにしても、皆さまの手、温かかった。
そんなことより、二科会会友である、友人・久保寺洋子の出品作を2点載せておく。

「Leaf」、と題する作品。
パステルを使っているようだが、混合技法、と記されており、コラージュの技法も使っているらしい。

撮る腕が悪く、上の方にライトが映り込んでいるが、「望郷」、というタイトルの作品。
これも、パステルか、あるいは、水彩かな、と思ったが、顔料は、油絵の具だそうだ。今までに知る久保寺の作品は、油を塗りこんだマチエール、女の情念を描いた、という印象の作品が多いのだが、この作品は、油を感じさせない、どこかふっきれた平穏な感じを受けるものとなっている。


その部分。
こうして、一部だけを取り出してみると、満開の桜木にも見える。もちろん、こじつけであること、重々承知ではあるが、八重洲のさくら通りから始まった今日の桜、これをもって、銀座7丁目の桜とする。
その後、画廊で待ち合わせた古い友人何人かと、中華屋で飲む。こちらは、男ばかりで。