票読みは難しい。

ドーハでの、ワシントン条約締約国会議、クロマグロ問題に関し、何日間か討議を重ねるのか、と思っていたら、先ほど、モナコ提案に対する採決が急に行われ、否決された。
あまりにもあっけなく否決されたので、驚いた。なにしろ、事前の報道では、はっきり反対しているのは、日本とオーストラリアと中東の国の幾つか、中国と韓国が同調の意志表示をしているが、会議出席国の1/3の国を見方に付けるのは厳しい情勢、と言われていたんだから。
また、アメリカとEUが一致して、絶滅危惧種に指定、国際取引禁止、というモナコの提案に賛成し、EU諸国は、旧宗主国の立場からアフリカはじめ途上国への圧力をかけている、とも言われていたんだから。
だから、モナコの提案が、賛成20、反対68、棄権30、という圧倒的多数で否決され、日本の主張が通ったのには、拍子抜けがするくらいの思いがした。アフリカ、中東、中南米諸国、途上国の票を取りこんだらしい。水産庁の役人、頑張ったんだ。なにか迫力がないな、心許無いな、と思っていたが、申しわけなかった。
それにしても、票読みは、難しい。蓋を開けてみないことには、分からない。
日本の当事者、関係者も、厳しい、厳しい、と言っていたんだから。国民も、”なんだ、マグロとシーラカンスは、同じなのか”、と不思議な感じを持ちながらも、そう思っていたんだから。
それと共に、今の時代、もう旧宗主国の締めつけも、さほどの効果を挙げ得なくなっているんだろう。途上国も、自国の利益がまず一番、と考えているのだろう。
それだけに、今回は、ひと山越した日本だが、今後は、自制ということも求められるだろう。
なにしろ、世界人口の2%にも満たない国が、大西洋と地中海のクロマグロの80%を輸入し、食っているんだから。どう考えても、少し度を過ぎた数字だと思える。いかに、好きな食材だとはいえ。EU諸国の漁業者による、稚魚の乱獲、畜養の問題は、別にしても。