哀しい縮図。

一夜明けた貴乃花、朝稽古で、気を引き締め、四股を踏んだそうだ。
造反者が2名出て、友綱は入ったものの、一門の長老、大島親方が落ちた立浪一門は、今日、国技館で会合を開いた。一門の親方衆一人一人に尋ねたが、造反者の特定はできなかった、という。しかし、その場で、2人が分かったら、処分する、ということは、決めたそうだ。
ところが、その後、立浪一門の親方、安治川(光法)が、貴乃花支持派の大嶽(貴闘力)部屋で記者会見をし、「私が、貴乃花親方に入れた」、と述べたそうだ。続けて、こう言ったそうだ。「一門の親方衆には、迷惑をかけた。明日、相撲協会には、退職届を提出するつもりだ」、と。哀しいな。
安冶川は、現役時代の四股名は、光法。幕内下位にいた力士だ。引退後は、安美錦(まだ現役バリバリ、来場所は、また三役に返り咲く)の持つ年寄名跡を借りて、立浪一門の宮城野部屋(白鵬を擁する部屋だ)の、部屋付き親方をしていたという。
さほど印象に残る力士でもなかった光法。引退後も、自ら年寄株を持つことはできず、安美錦の株を借りていた、部屋付き親方。これからの行く末、さまざま考えていたんじゃないかな。投票時には、これでオレの人生の区切りにしよう、と思っていたのかどうかは、解からない。だが、相撲人生の、ひとつの縮図を見る思いがする。
最初に朝青龍の泥酔、暴行騒動が出た時、殴られたのは、私だが、少し大袈裟になっちゃった、としていた、朝青龍の個人マネージャー。その後、真相が序々に解かるにつれ、すみません、私がウソをついていた、と言っていた。彼は今日、世間の人にご迷惑をかけた、横綱とも話し合ったが、一段落したら、マネージャーを辞任する、とブログに書いている。横綱にも、大変ご迷惑をかけた、として。
これも、哀しいといえば、哀しいじゃないか。あのハデハデのアメーバブログで、朝青龍を煽っていた男が。朝青龍命であるからこそ、でもあるのだが、みな捨石になるんだ。彼の場合は、安冶川の場合とは、少し事情が異なるのではあろうが。
自らの思うところに向かい、気を引き締め、四股を踏む、貴乃花の”王道人生”は、立派であり、凄い。だが、淀みに浮かぶ”泡沫人生”を送る男がいることを、忘れないでもらいたい。