八方ふさがりの解決法。

昨日の名護市長選で、鳩山政権のとる道、さらに少なくなった。
普天間基地の名護市辺野古への移転反対を訴えた候補が勝った。民主党はじめ与党すべてが推した候補故、今さら辺野古へなどというワケにはいかないだろう。5月末に、「いろいろ検討したが、どこもダメ、辺野古しかない」、なんてことになったら、最低でも、内閣総辞職、少なくとも、辺野古受け入れをアメリカに告げた後、鳩山由紀夫は総理を辞職する、というくらいの覚悟はいる。
それをまだ、辺野古も含め”ゼロベース”で、なんて言っている。最終的な決定権は、国が持っているのだから、辺野古にすることも、もちろんできるが、まったく信用のできない男、となるだろう。
今日、NHKに出ていた、橋本龍太郎の首相補佐官を務めた岡本行夫は、「現実問題として、辺野古以外ない。13年間かけて積みあげてきた、辺野古移転をないがしろにしたら、アメリカとの関係は、非常にギクシャクとしたものになるであろう。だいたい、5月までに、アメリカに受け入れられる代替案など、不可能だ」、と語っている。
また、やはり、元外務官僚の田中均(あの小泉訪朝のお膳立てをした、元外務審議官の田中均だ)は、「選択肢は、3つしかない。ひとつは、辺野古であったが、これはもう難しい。ふたつ目は、国外への移転だが、これも難しい。三つめは、普天間の検証、例えば、事故の問題、騒音の問題、その他のことを検証、普天間の軽減をはかる、ということだが、これも大変だ」、という。
田中は、一般には、北朝鮮問題で記憶に残っている男だが、実は、普天間の移設問題でのアメリカとの折衝にも、大きく関わっている。田中は、こうも言う。「日米同盟は、崩せない。朝鮮半島の情勢は、まだまだ緊張状態にあるからであり、あとひとつは、中国の台頭、特に軍事力の急激な拡大にある」、と。続けて、基地の軽減を図るには、外交努力ではかるしかない、と語る。
具体的には、今なにをするかといえば、「日本側だけで、検討するのではなく、日米合同での検討を、今すぐにアメリカに持ちかけるべきだ」と言う。
国務長官のヒラリーはじめ、アメリカの政府高官は、辺野古以外ない、と言っている。たしかに、アメリカの高官誰しもが、そう言っている。それは、当然だ。日米で合意したんだから。しかし、たしかに、口ではそう言ってはいるが、日本の政権が変わったことも、その内部事情も解かっている。信用できないヤツらだな、とは思っているとしても。
その意味で、田中均の言うこと、何かモコモコとはしているが、私は、この機会に、日米合同で大いに揉んでみるのが良い、と思う。場合によっては、5月までに、なんてことじゃなく、1年ぐらいかけて。日米関係は、岡本が言う”非常にギクシャク”どころか、非常に悪化するであろう。しかし、悪化を恐れることもないんじゃないか。
その過程では、日本側からは、持ち出さないにしても、アメリカからは、「日本は、何を考えてんだ。誰が日本を護ってやってんだ」、と言って、日米安保破棄の声があることを、持ち出すかもしれないが。しかし、外交交渉など、ブラフのかけ合い。その程度のことで、怯むことはない。信用のできないヤツだ、と思われているよりはいい。後で、かえってプラスになる。
5〜6年前になるが、宜野湾での催しに出る為、那覇からバスに乗った。その途中、バスが走る道の左側に、高いフェンスが延々と続く普天間の米軍基地があった。道の右側は、民家が立ち並ぶ町中、左側は、フェンスの向こうどこまでも米軍基地。その情景を見れば、住民が、普天間から出て行ってくれ、というのは、当然だ。よく解かる。
しかし、普天間に限らず、沖縄には、○○基地とかキャンプ○○とかといった、米軍の基地、施設が、それこそ、あちこちにある。日本国土の1%にも満たない土地に、在日米軍基地の75%があるのだから。
日本に米軍の基地があることは、仕方ない。現実問題としては、必要だろう。しかし、その基地の3/4を沖縄に押しつけておくというのは、いかにも不平等、不公正だろう。いかに、敗戦後30年近く、昭和47年(1972年)まで、日本の施政権が及ばない、アメリカの統治下にあった島だとはいえ。
米軍基地の存在自体は、認めてはいても、それを自分が住む所に持ってくることには、皆反対。これも、当然。だからと言って、それを、いつまでも沖縄に押しつけておくのは、あまりに理不尽。私は、そう思うし、この点は、日本各地の多くの人も、そう思うんじゃないか。
そうは思うが、オレん所は、イヤだ。多くの人は、そう言うに決まっている。これも、当然だ。じゃあ、どうするか。今、出ている代替案の下地島というのも、沖縄県。地元では、反対している。鳩山の首と引きかえに、辺野古にするのも、現実策のひとつではあろう。しかし、私は、検討すべき案がひとつある、と思っている。
そんなバカな、と言う人が多いであろうが、こういう国民誰もがいやがる問題は、国を代表する町に持って来たらどうか、ということだ。さしあたり、東京か、大阪か、名古屋、愛知県だ。国の問題なんだから、国を代表する所に持っていく。いずれの都府県にも、島嶼部はある。人は住んでいるだろうが、国の問題として、解決する。
知事の橋下も言ったという、関空も検討したらいいんじゃないか。今の関空、利用者が少なく困っているんだから。ただ、米軍基地とする為には、今より大幅に拡張する必要があろうが、拡張すればいい、と思う。大阪府民からは、猛反発を食うだろうが、こういうどうにもならない、八方ふさがりの問題は、頭をドラスティックに切り替えるしかない。
日米合同で、こういう考え方も、検討してもらいたいものだ。なにをバカなことを、と初めから、切り捨てないで。
たしかに、焼酎のお湯割りを飲みながら、考えたものではある。だが、検討に値するのでは、と思う。
日本復帰から40年近く経つ沖縄だけに、多くの米軍基地を押しつけておくのは、あまりに理不尽。