日の出。

初日の出は、久しく見たことがない。久しくどころか、おそらく、何十年も。
しかし、新年といえば、富士山とか御来迎がつきもの。そこで、初日の出ではないが、日の出の写真を載せる。私が見た直近の、と言っても、一昨年の暮れ、1年ちょっと前のヒマラヤの日の出であるが。
カトマンドゥから車で1時間半ほど行った所に、ナガルコットという小さな村がある。標高2500メートルばかり、ヒマラヤに行くのではなく、ヒマラヤを見る所、として知られている。
まだ暗い内にホテルを出、暗い道を走り、ナガルコットに着いてもまだ夜明け前。車から降りると、とても寒い。ヒマラヤの方向には、雲がモクモクとし、霧もかかっている。はたして日の出は、見られるのか、と思うが、その内、霧が時折り晴れる。引いていく。

これは、まだ太陽が顔を出す前であるが、少しずつ明るくなってくる。一瞬、霧が引いたので、ヒマラヤの山並みが見えた。右から3分の1ほどのところに、ピョコンと飛び出た山があるが、これがエベレストだと思う。
ナガルコットからエベレストまでは、150キロほどばかり。ここから見ると、近場の山は高く見え、標高の高い山が、必ずしも高く見えるワケではないのだが、以前、小型機でエベレストのすぐ近くまで行った私には、この尖がった先端は、エベレストに思える。
もっとも、エベレストの周り、この近辺には、ローツェ、マカルー、チョー・オュー、といった8000メートル級の峰々が連なっているのだが。

太陽が、雲海の上に、顔を出した。ヒマラヤの日の出だ。左の方の山は、近場の山。
8000メートル級の山は、雲の中に隠れている。

雲海の上に上がった太陽。エベレストもその他の8000メートル級の山々も、雲の中でよく分からない。

暫くいて、帰る時、また霧が晴れた。雲も引いた。また、山が見えた。その時のヒマラヤの山々。
とても、非常に寒くて、急いで駐車場に下りる。そこに、全身白装束で腰まで届く赤い鉢巻を締めた白人の一団がいた。おそらく、ヒマラヤなんとか講とかいう一団であろう。だが彼ら、日の出には、間に合わなかったぞ。きっと、まだ修業が足らないんだ。彼ら、あちこちヒマラヤの地を巡っているのであろうが、ヒマラヤの日の出は、はたして見たのか。私が心配することではないが、気になった。まあ、そんなことは、いい。
新年1月1日、日の出の写真は、これでおしまい。
日中、酒を飲みながら、NHKで、「昭和なつかし亭、昭和の名人芸」、なる番組を観た。
とうの昔に死んじゃった五代目小さんや初代三平(「源平盛衰記」をやった)、松鶴家千代若、千代菊の「もう帰ろうよ」の映像もあった。83歳になり、白髭をたずさえた喜味こいしも、大阪から来て、ゲスト出演していた。さまざまなピン芸人の映像も出てきた。
私の正月、これで終わりだ。「めでたさも中くらいなり・・・」、の一茶と同じだな。