予告 「日本遺産・ベスト10」。

1950年(昭和25年)1月に創刊された「芸術新潮」は、何日か前に発売された新年号で、創刊60周年を迎える。
「わたしが選ぶ 日本遺産」、という、気合いが入った創刊60周年記念大特集を組んでいる。通常号は、発行部数4万部弱、日本人の3000人に1人しか読んでいない雑誌だが、この記念特大号は、刷部数を大分増やしたとみえ、千葉県の中規模書店でも、うず高く平積みになっている。マンガ誌や女性誌には、及ばないが。
これが、とても面白い。「芸術新潮」は巻頭、<人でいえば還暦、干支がひとまわりする間に、時代も芸術も大きく様変わりしました。そんないま、われわれが次の60年、いえ、もっと先の未来まで伝えていきたいものとは何か? 各界でご活躍の68名にアンケートをお送りし、そのお答えをもとに60周年記念特大号を編むこととしました>、という。
”各界でご活躍”、と言っても、「芸術新潮」がいう各界であるから、もちろんのことながら、政界や実業界やスポーツ界、などではない。絵描き、もの書き、マンガ家、カメラマン、建築家、デザイナー、イラストレーター、などなど創造の分野の各界で、今活躍している人たちだ。中には、私の見知らぬ人もいるが、フムフムという名も多い。
その68名の人たちへは、こういう依頼をしたそうだ。
<「日本遺産」と申しますと例のユネスコによって登録されるところの「世界遺産」を連想されるやもしれません。しかし、小誌が漠然と考えております「日本遺産」とは、そうした誰もが認めるような最大公約数的な「世界遺産の日本版」とは一線を画すものです。・・・私的な経験や記憶のなかに刻まれた卑近な例をお挙げいただくのでも、もちろんけっこうです>、と。
68名の人たちからは、さまざまな「日本遺産」が返ってきている。少ない人で2つ、多い人で5つ、平均すれば4つ程度になろうか。だから、合計では、270〜280ぐらいの「日本遺産」が挙げられている。風景から、美術、建築、神事、芸能、デザイン、食、その他さまざまなものが。なるほど、と思うものから、ヘェー、と思うものまで、実に楽しい。
しかし、「芸新」は、それらのものを全て押し並べて、等しく扱っている。ベスト・ワンは、これだ、とは言っていない。だが、もの創りに携わる個性派の人たちとはいえ、同じものを、これぞ「日本遺産」として挙げているものも幾つもある。
そこで、私は、これぞ「日本遺産・ベスト10」、を作ろう、と思った。「芸新」が、手間ひまかけて、さらに、金もかけて集めた資料を基に。おそらく、史上初の「日本遺産・ベスト10」、の発表となるのでは、と思っている。
なんだ、お前は、ただ数を数えるだけじゃないか、と言われると、たしかに、そうである。しかし、これが案外手間ひまがかかる。
現在、鋭意、集計中である。それを、新年、1月2日のブログに発表する予定である。
なにしろ、「日本遺産・ベスト10」の発表は、おそらく、史上初。
乞う、ご期待。