正念場。

曇り。
松井秀喜の来シーズン、エンジェルスに決まった。
昨日、今日、このニュースが多い。松井の去就問題は、小沢の動向と同じく、国民的関心事だから。ただ、小沢はヒールとして、松井はベイビー・フェイスとして、の違いはあるが。
今年のメジャーは、去年のリーマン・ショック以降の経済低迷の影響で、FAとなった選手にとっては、厳しい状況だったようだ。完全な買い手市場。
今月初め、松井の代理人、アーン・テレムが、松井を3年3000万ドルで売り込んでいる、というニュースがあり、私もそのことをこのブログに書いたが、とてもそんな状況ではなかったようだ。エンジェルスとの合意条件は、1年契約で650万ドル(5億7千万円)。今年までの年俸の丁度半分。
我らが松井を、安く買い叩きやがったな、とも思ったが、冷静に考えてみると、松井にとっては良かったんじゃないか、と思い直す。松井が、いかにニューヨークが好きだ、ヤンキースが好きだ、と言ったって、ヤンキースの方では、松井再獲得の優先順位は低かったんだから。ヤンキースのクソ野郎、キャッシュマンのクソ野郎、とも思ったが、これも冷静に考えてみると、ヤンキースにはヤンキースの事情もある。
ジーター、ポサダ、また、まだ去就の決まらないデーモン、来シーズンのDH候補は、ぞろぞろいる。彼ら皆、30代後半、しかも、超高年俸の選手ばかり。また、場合によっては、A.ロッドまでDHで、ということもあるそうだ。松井に金は掛けられない事情がある。
そんな台所事情には関係のないニューヨークの新聞は、「サヨナラ、ヒデキ」、とか、「ゴジラは、ディズニーランドへ行った」、とか、ニューヨーク・タイムズでも、松井の7年におよぶヤンキース在籍を振り返る記事を、書いているようだが、松井が、ニューヨーカーから惜しまれて、ヤンキースを去るのは事実。ホッとする。中には、ゴジラにかけて、「GONEーZILLA」というヘッドラインの写真もあった。松井は、愛されていたんだ。ニューヨークの人と町に。
エンジェルス(初めて知ったが、正式な球団名は、ロサンジェルス・エンジェルス・オブ・アナハイムというそうだが)は、いい買い物をした。また、松井にとっても良かった。
年俸が半減するのは、ともかくとして、名門の巨人から、中日かソフトバンクへ移籍するようで、気分がいいとはいえないだろうが、エンジェルスも強豪チーム、松井が望む世界一のチャンスもまたあるし、また、松井が希望する守備につく機会もあるようだ。
どうも松井は、野球選手は、攻走守そろってこそ、と思っているようだ。打つだけじゃダメ、打って、走って、守りにもつく、それが野球の選手なんだ、と思っているのだろう。松井の野球に対する美学だろう。来年36になる松井、それを完成させたいんだろう。
だが、来シーズンは、松井にとって正念場のシーズンとなるだろう。1年契約、結果を出さなければならない。そうでなければ、翌年の再契約はない。たとえあっても、松井にとって耐えられぬものとなろう。それは、我々日本人にとっても同じである。
その為には、来シーズン、開幕直後の2カ月に、ホームランを10本以上、できれば、12〜3本打つ必要がある。エンジェルスにも強打者がいる。彼らに勝たなければならない。そうでなければ、出場機会も減っていく。メジャーの世界は、典型的な競争社会、松井の野球人生にとって、正念場のシーズンとなる。
松井の野球美学を完結させる為に、シーズンを通しては、ホームランを35本、打点を100以上あげ、また千万単位の複数年契約を為してもらいたい。
来年もギクシャクするであろう日米関係、松井の活躍が、それをどれほど緩和するか、測り知れないものがあるんだ。
来シーズン、松井頑張ってくれ、そう思っている日本人は、多いだろう。