小沢一郎的なるもの。

薄日。
「長城計画」なんてものがあることなど、今まで知らなかった。
北京の空港に、中国政府差し向け、という黒のストレッチ・リムジンが横付けされ、小沢一郎が乗り込んだ。その他の人たちは、通常の車やマイクロバスに乗り込む。旅行会社の社員らしき人が、何号車の人はこっち、なんて叫んでいる。
民主党の国会議員140人余、その他、支援者を合わせ、600人あまりの団体。内、80人は、この夏の衆院選で初当選した小沢チルドレンだという。校長先生に率いられた、小学校の修学旅行を思わせる。
小沢と胡錦濤との会談も、セットされている。これには、教頭格の輿石東と山岡賢次も、同席していたようだ。その前か後かに、民主党議員約140人と胡錦濤との握手会もあった。皆、胡錦濤と握手をして、写真を撮る。ひとり2〜3秒、まさに握手会以外の何ものでもない。
事前に、日本側から、140人全員と握手をして写真に撮らせてください、と言われた中国側も、面くらったであろう。胡錦濤、もくもくとこなしていたが。これが、小沢のいう勉強のひとつなのか、とも思うが、そうなんだろう。
良くも悪しくも、1972年、日中国交正常化を成した田中角栄の衣鉢を継いでいる小沢一郎は、中国にとっては、重要人物なんだ。胡錦濤も、「長期にわたり、中日の懸け橋として、重要な貢献をされている」、と言って、小沢を迎えている。
「長城計画」も、まだ小沢が自民党にいた頃の、1986年から続いている、という。今回は、16回目だそうだ。知らなかったが。
小沢のHPを見ると、「政治とは、生活である」、という言葉も載っていたが、今回の同行支援者募集の概要も、載っていた。
それによると、万里の長城見学、北京市内観光も含め、3泊4日、費用は198000円、とある。格安のパック旅行よりは高いが、人民大会堂や釣魚台迎賓館での夕食会など、普通では行けない所も入っているので、まあ、こんなものだろう。それで、600人以上もの団体さんになったんだ。
それはさておき、今、日本を動かしているトップリーダーは誰か、と問われて、鳩山由紀夫と答える人は、幸夫人以外にいないかもしれない、と私は思っている。
亀井や福島がガーガー言って、鳩山が身動きできないのも、今は三党連立堅持、という小沢戦略のせいであろう。COP15の会場で、オバマと同席しても、二者会談には応じてもらえないのも、詰まる所は小沢。何より、普天間問題で、アメリカが怒っているのか、呆れているのか、知らないが、この時期、600人もの人を引き連れ北京へ乗り込むのも、いかにも、小沢。
小沢の思考、小沢一郎的なるもの、常人には、解かり難しだ。
小沢の基本スタンスは、日米同盟と、アジアとの信頼関係。とりわけ、中国、韓国との友好関係。このスタンスは、変わっていない。
先の戦争、また、靖国についての小沢の発言からいって、そう思う。
だが、西郷南洲や大久保利光を意識しているという小沢、国士なのか、第一、国士を目指しているのか、その行動を見ていると、よく解からぬ。米中との関係、長期を見据えているのか、それも凡人には、よく解からない。
その顔を見ても、ヒール、その行動を見ても、ヒール。小沢一郎的なるもの、国民に理解される時がくるのだろうか。解からない。