金がらみ。

晴れ。
久しぶりに、松井秀喜の話題が報じられた。
ヤンキースをFAになった松井、その去就が注目されているが、松井のエージェント・代理人のアーン・テレムが、とても強気の交渉をしている、というニュースである。
接触をはかってきたナ・リーグの球団に、3年3000万ドル(約26億5000万円)で、と言っているとのこと。膝に不安を抱えているとはいえ、ワールドシリーズのMVP、安売りはしない、との意思表明。強気だ。
松井秀喜に関しては、何度かブログで触れたが、その去就については、まだレギュラーシーズン中の9月20日でも触れた。レギュラーシーズンの成績、悪くはないが良いともいえない、という状況の時だった。ワールドシリーズでのMVPなど思いもしなかった時期だ。
今年でヤンキースとの契約の切れる、松井の来シーズンの去就、心配だ、と書いた。その時には、来シーズン、1年契約800万ドル(7億円強)という話も出ていた頃だった。松井にとっては、12億でも7億でも、どうでもいいんじゃないか、とも記した。だが、エージェントにとっては、違う。
エージェントは、自らの顧客を、できるだけ高く売らねばならない。当然だ。
ましてや、松井の代理人のアーン・テレムは、メジャーリーガーばかりでなく、コービー・ブライアントはじめプロ・バスケットボールのスタープレイヤーも、多く顧客に抱えている、辣腕代理人。アメリカで三本の指に入る代理人、だという。
松井が、WSでMVPを取った時には、「よし、やれる」、と思ったであろう。メジャーリーガーの代理人のコミッションは、5%だそうである。仮に、松井を、3年3000万ドルで売った場合は、その5%の150万ドル(1億数千万円)の手数料が入る。
アーン・テレム、松井の、選手としての成績ばかりでなく、その人柄、災害地への寄付行為などの美徳、さらに、日本企業からの広告収入などの付加価値も加え、売りこんでいるらしい。
ヤンキースでは、昨日、オーナーのスタインブレナー、GMのキャッシュマン、監督のジラルディ、による首脳会談が行われた、という。ヤンキース残留も、まだ選択肢のひとつなんだ。だが、結論はでなかった、という。
ヤンキースには、やはり、難しい、と私は思う。松井とは同じような、やはり今年FAとなり、それこそ、年齢もひとつ違いで、バッターとしての実力もほぼ同じ、デーモンの去就も決まっていない。ついでながら、私は、このデーモンも好きな選手のひとり。
それはともかく、実は、4年前、阪神にいた井川慶をヤンキースに売り込んだのも、アーン・テレム。5年2000万ドル(18億円)で売り込んだ。しかし、井川は、まったくの期待はずれ、マイナーに落ち、3Aにいる状態。ヤンキースは、大損をした。テレムにやられた、との思いもあるらしい、ヤンキースには。
それが、松井との交渉にも、なにがしかの影を落としていることも、あるかもしれない。
億とか何十億とかの単位の金を、どうこうしている世界、我々の日常世界とはかけ離れた、異次元の世界であるが、その当事者たちが、我々とはかけ離れた、特殊な技量、才能を持っているからこそ、受け入れられる世界でもある。金がらみ、ではあるが。
金がらみといえば、つい今、「日本の、これから」というNHKの番組で、自殺について取りあげられていた。
日本の自殺者は、1998年以降、毎年3万人を超えている。山一証券の倒産以降、経済的な理由による自殺が増えている。
多重債務の問題、中小企業経営者の連帯保証の問題、また、ついに数千円、数百円しかなくなり、とか、いき詰まったあげくの自殺が、増えている。4〜50代の自殺が増えている、という。福井の東尋坊で、この5年間に220何人の人を助けた、という人も出ていた。
メジャーリーガーの億とか何十億とかという世界とは、対極の世界であるが、これもまた、今の現実世界。松井フアンとしては、なんとも複雑な思いであるが、なんとかしなきゃいけない問題だ。
「ぼんやりした不安」の芥川や、ともかく女と死にたかった太宰や、己の美学に殉じたかった川端や三島や、また、なんとなく解かる気もする江藤淳の自殺とは、ワケが違う。
食えなくての自殺、金に詰まっての自殺が、増えている、という。なんとかしろ、国は。鳩山や長妻は、さっきの番組見ていたか。
WHOの統計を見ると、日本の自殺率は、リトアニア、ベラルーシ、ロシア、といった旧ソ連圏の国々よりは低いが、先進国の中では、一番高い。アメリカの2倍以上である。日本は、自殺大国でもあるんだから。
鳩山のやることはいっぱいあるが、これもなんとかしろ。