健康シンドローム。

薄日。
昨日の続き。日本医師会などの「タバコ1箱1000円に」、という意見広告の続き。
日本のタバコは、安すぎる、欧米先進国並みの値段にしろ、との主張。タバコを吸っているヤツは、文明人じゃない、野蛮人であり、バカものだ。社会の敵だ、との主張。ほとんどの人は、文句が言えない、反論できない。
ひと月近く前、厚労相の長妻は、タバコの増税についてこう言った。「環境、人間の身体の面からみて、タバコの増税はあり得る。段階的な大幅値上げ、ヨーロッパ並みにする必要がある」、と。そして、政府税調への諮問を検討する、と。
多くの人は、反論できない。タバコ好きとタバコ農家以外は。国家の税収、40兆を切り、国家予算の半分にも満たないどころか、ヘタをすると、1/3近くまで落ち込むことが予想される中、タバコの増税は、最も簡便に税収増をはかれる手段である。
長妻の頭には、まず1箱600円ぐらいにし、次いで、700円、800円、1000円、としたい、ということのようだ。環境税の導入と共に、タバコ税のアップが、差し当たりの増収案、ということは、解かる。
クソ真面目なタイプの長妻から言えば、国民の健康を守ると共に、喫煙者を欧米並みに減らし、先進国クラブの一員として、恥ずかしくないように、なんてことも考えているのかもしれない。
たしかに、欧米先進国に較べ、タバコの値段は、安い。レストランや喫茶店でも、タバコが吸える店は、まだまだある。しかし、徐々に減ってきてはいる。路上の喫煙禁止は、私の住む都会地とはいえない所でも、そうである。タバコへの包囲網は、確実に狭まっている。
書籍でも、『まだ、タバコですか?』とか、『リセット タバコ無用のパラダイス』とかといった、タバコのみをバカにしたり、止めればこんなにいいことが、といったものばかりでなく、ハウ・トウ・禁煙本が多く出されている状態。近年のタバコ関連本は、ほとんど、この手のものばかりである。
そのような中、敢然とこのような近年の風潮に立ち向かった書が、今年6月に上梓された。横浜国大教授の室井尚著『タバコ狩り』(平凡社新書)である。<「テロとの戦い」とも見紛うタバコ排除の力学を暴く>、とある。
実はこの書、別の出版社からの依頼で執筆したものだが、その出版社の「リスク・マネジメント」、「法務政策」に抵触するものであったらしく、突然出版差し止めになったもの、とあとがきにある。しかし、平凡社は、なんの先入観も偏見もなく、出版を引き受けた、とも記されている。
それはともかく、室井は書いている。なぜ、喫煙=悪になったのか、WHOの強引な世論誘導である。タバコはどのくらい身体に悪いのか。受動喫煙の詭弁。タバコの税率、日本では、5つの税がかかっているそうである。等々大学の教師らしく、論じている。
しかし、その基本は、<私は息苦しい規則や「風紀委員」だらけの社会は嫌いだ>、という単純なこと。
室井の個々の論理についての、諾否はさまざまだが、彼の基本姿勢には、日々このような胡乱ブログを書いている人間として、首肯できる。過度な健康シンドロームが、どうも肌に合わないんだ、私には。昼時の皇居の周りを、ランニングパンツで走っている連中がどうも好きになれないんだ。
しかし、世の中には、私と対極の人もいる。オレは、世の為、人の為に尽くしたい、という人がいる。エライ、と思う。が、オレとは違うな、と思う。が、しかし、たいしたものだな、とも思う。とても真面目な人で、使命感を持った人だと思われる。
そのような人の一人に、”Beautiful Planet”というブログを発表している人がいる。タバコと健康のことを、テーマにしているという。<人は遅かれ早かれ死にますが、喫煙すると2人に1人はタバコが原因の病気で、喫煙しない場合よりも15年はやく死にます>、と記されている。
WHOとのリンクも張られていて、そこには、「現在タバコを吸っている10億人以上の喫煙者内、約5億人がタバコで死にます」、との2008年のWHOの報告書も出てくる。
プロフィールには、好きなものとして、山の空気、美しい形、快い音、と記されている。そうか、それもいいが、この世には、淀んだ空気や、歪んだ形、ノイジーな音もあるのにな、と思う。
それはともかく、タバコ1箱1000円のこと。そう言えば、タバコといえば酒。酒は、どんどん安いものが出てきている。ビールなど、第2のビールとか、第3のビールとかといって、酒税がガクンと違うらしい。
が、タバコには、第3のタバコどころか、第2のタバコも出てきていない。銘柄によって、値段は違うが、基本的にタバコはタバコ、税率は同じであり、値段もそうは違わない。第2、第3のタバコなんてないものな、と思っていたら、あった。
インドへ行くと、ビディというタバコがある。これは、安い。形は、葉巻の小さいようなものだが、タバコといえるものかどうか、すぐ消えて、吸い難い。以前、いっぱい買ってきたので、今、写真に撮った。こんなものだ。

長さ5〜6センチほどのもの。タバコの葉を砕いて木の葉に包んだタバコである。
1個2ルピーほど。日本円では、4円ほどである。1本ではない。1包装の値段である。
先ほどネットで知ったが、この1包装2ルピー、4円ほどのビディ、日本では、380円で売られているという。なんと、100倍近い値じゃないか。が、しかし、そういうものでもあろう、と思う。
左は、ガネーシャという銘柄。右は、ヒンディー語しか書いてないので、解からない。
長さは、5〜6センチほど。やや太いのと、細いものとがある。
今の日本では、あまり見かけない粗末な紙で、25本が1包みとなっている。

さまざまな包装紙に包まれている。
これには、インドばかりでなく、ネパールのものも含まれているが、共通するのは、いずれも人の顔が刷られていること。どのような人なのかは、まったく解からないが。
それはともかく、タバコ1箱1000円になったら、インドに行って、1包装4円のビディを大量に買ってこようかな、なんてバカなことを考える。
今日も、大分長くなってしまった。タバコのことになると、どうもなんだかんだ、と思ってしまう。
また、明日にしよう。