目先のことしか、見えてない。

雨。
正式には、中小企業金融円滑化法案というそうだが、いわゆる、モラトリアム(返済猶予)法案、衆院の財務金融委員会で、自公議員欠席の中、採決が強行された。
自公は、財務金融委員長と、本会議への上程を職権で決めた議院運営委員長の解任決議を提出、今、本会議場で、その採決が行われている。与党議員が圧倒的に多いのだから、これは否決され、その後、これから夜晩く、衆院本会議で法案は可決、となるらしい。
民主のやっていること、今まで自公がやっていたことと、まったく同じ。数の論理で押しきっている。自公も以前の野党時代の民主などがやっていたことと、まったく同じ。そっくり、立場をひっくり返しただけ。
しかし、なぜ与党は、亀井に引っ張られたこの法案を急ぐのか。もっとよく練ることが、必要ではないのか。住宅ローンのモラトリアムも含まれているらしいが、主は、中小企業対策であろう。だが、亀井や民主の連中は、本当に、中小企業のことが解かっているのか、本当に、有効な策なのか、疑問がある。
毎月毎月、借入れと返済を繰り返す。それこそ、不断に繰り返し、企業を維持している、それが、ほとんどの中小企業の実情である。もちろん、無借金経営という企業も、ないではない。が、大部分の中小企業は、金融機関からの融資を受けて、運転している。返済猶予は、たしかに、ありがたい。しかし、あとが恐い。
貸し剥がしも恐いが、貸し渋りも恐い。金融機関のチェックは、厳しい。返済猶予の申請をした企業の信用度は、ガクッと落ち、次の融資は受けられなくなる恐れ、大であろう。かりに受けられたとしても、その条件は、非常に厳しいものとなる。
そのようなことにも対応している、ということではあろうが、政治家が考えることと、間椄金融で生きている企業現場とは、まったく違う。企業は、今だけじゃない、何年も何年も、生きていかなければならないのだから。
法案の中身、私はよくは知らないが、「この法案ができたら、おたくは猶予を申請しますか?」、との問いに、「申請する」、と答えた企業は、13%にすぎない。多くの企業は、申請したくても、しないんだ。企業は、今だけのものじゃない、と考えているからだ。そこが解かってない。亀井も亀井に引っ張られた鳩山以下民主の連中も。
目先のことしか見えていない。それこそ、パフォーマンスだといわれても仕方ない。だから、じっくり時間をかけ、審議する必要があった。自公の言うこともよく聞いて。
第一、この臨時国会の会期、今月末までだという。この短い間に、幾つもの法案を通すのだという。これも、よく解からない。会期の延長をすればいいじゃないか。じっくりと審議をする時間を持ち、党首討論も受けて立つ、会期延長を。
一説では、鳩山や小沢の献金問題をつつかれるのがイヤだから、とも言われているが、セコイ感じだ。秘すれば花は、幽玄な能の世界の話、政治の世界は、それとは対極の世界。表に表わさなくちゃ。政治の世界で、秘すことは、ただ、逃げていることと等しい。
この点でも、目先のことしか、見えていない。私には、そう思える。