必殺仕分け人。

晴れ。
95兆円にも膨らんだ、来年度予算の概算要求、そのムダを削る為の、「事業仕分け」、その第1ラウンドが終わった。
あちらの机には、政治家仕分け人、こちらの机には、官僚。両側の机には、民間人の仕分け人。ネット中継もされたそうだが、それは、見ていない。ニュースでの映像を何度か見ただけだが、なんだか、法廷に似ていたな。仕分け人は、裁判官兼検事、各省庁の官僚は、被告兼弁護士、といった役回り。
国の事業、約3000事業の中、447件を対象とし、3兆円のムダを焙り出すのを目標としている由。第1ラウンドでは、廃止、見送りで1500億、公益法人が持つ基金7200億の国庫への返納、など約1兆を確保、とのこと。その過程では、擬装天下りも、出てきたようだ。
どうしても、仕分け人は、善玉、官僚は、悪玉、というふうに見えてしまう。乱暴な言い方をすれば、大岡越前か遠山の金さんの前に、引きたてられた悪人、被告兼弁護士役の皆さんは、どうもそう見えてしまう。なにしろ、1案件1時間で、結論を出す。これも、乱暴といえば乱暴。
大岡越前や遠山の金さんはともかく、仕分け作業が始まった時には、なにか前時代的な感じを抱いていた。が、今までの政権では、予算は、政権党の族議員と財務省の主計官僚との間で、決められていたわけだから、それ(予算の決定ではなく、その前段階ではあるが)が、公開の場で国民に見える形で為されることは、いいことじゃないか、と思うようになった。
盲点だった。こんなやり方、思いもしなかった。今までの政権党の首脳部は。だから、麻生も谷垣も大島も、このやり方を、ボロクソに評している。「1時間で裁断を下すなんて。パフォーマンスにすぎない」と。中で、自民の参院幹事長の谷川秀善は、「なんで自民党の時にせなんだか」、と残念がっているそうだが。
パフォーマンスにすぎない、とは思わないが、自民にとっては、やられた、という思いだろう。なにしろ、枝野幸夫や蓮舫といった、国会議員の仕分け人ばかりでなく、民間の仕分け人も、みな弁が立つ。地方の首長や大学の先生なんからしいが、普通のオジさんオバさんでは、ああはいかないだろう、とも思う。蓮舫など、眦を決して迫っていた。余計なお世話ながら、皺が増えるな。
それはともかく、ひとつ不思議なことに気がついた。廃止とか見送りとか削減とか、となった事業案件は、その事業名称だけを見れば、みなすべて、こういうことやればいいじゃないか、というような、素晴らしい名前がついている。高齢者対策にしろ、介護対策にしろ、就労支援にしろ、国際貢献にしろ、なんで削るんだ、というような名前のついた案件が並ぶ。
しかし、今回の事業仕分けの基本コンセプトは、「費用対効果」、不用不急のものは、削られた。スーパーコンピューターの開発や、ロケットの次世代燃料の開発が、削られたのは、残念だが。今の日本は、そこまでの余裕はない、身の程を知れ、ということだろう。名称だけは、いかにもであって、その実態がムダなものが削られたのは、いいことだが。
そういえば、テレビに必殺シリーズという長期にわたる番組がある。見ていないので詳しくは知らないが、必殺仕掛人とか、必殺仕事人とか、必殺仕置人とか、という名は知っている。そのうち、必殺仕分人というタイトルのものも、放映されるんじゃないか。仕分人
の場合は、刑事事件と違って、民事となるであろうから、その展開、難しかろうが。