書き手、声、酒。

曇り、一時小雨。
午前中、サントリーホールで講演をし、昼には皇居を訪ね、天皇、皇后両陛下との3人だけの昼食会を持ち、3時前には、エアフォースワンでシンガポールへ飛び立った。忙しいな、オバマは。
明日は、エイペックで地球温暖化対策のイニシアチブをとり、明後日は、上海に飛び、その後は、北京、さらに、ソウルへ。
そのたびに、その国、その状況に応じた演説をする。今回の基調、主旋律は、「アメリカは、アジア、太平洋国家である」、ということ。環太平洋の国だ、ということ。
アジアに積極的に関与する。日米同盟が基盤である。。中国封じ込めはしない。協調し、補完する。核なき世界を目指す。北朝鮮の核、さらに、拉致問題への言及。アウン・サン・スー・チーさん解放を含めたミャンマーへの言及。いずれも、今までのオバマの話から、解かっていることではあるが、オバマが改めて話すと、説得力がある。
さらに、ワールド・シリーズMVPの松井のことは、今までに、少なくとも二度触れたし、今日のスピーチでは、小浜市の人たちのことにも、「触れないわけには、いかない」、と言って、触れたようだ。もちろん、上海や北京へ行けば、中国種を盛り込むし、ソウルでは、韓国の話題を盛り込むだろう。
オバマの主任スピーチライターは、去年の大統領選の時には、ジョン・ファヴローという27歳の男であった。今でも、彼が主任スピーチライターを務めているとすれば、このファヴローも同道、日夜、頭を使っているのだろう。今年は、28になっているのだろうが、それでもまだ若い男、大統領専用機の中で、オバマと頭を突き合わせているのだろう。内容がともない、かつ、効果的なフレーズを追って。
しかし、演説というものは、内容がいいから、高邁な精神が込められているから、シャレたフレーズが入っているから、必ずしも、人の心を打つわけではない。説得力を持つわけではない。
発声、声が、重要となる。その点、オバマの声は、はまっている。オバマの声は、まさに、演説向きの声。政治家として、得難い声。説得力が、弥増す。
そんなことを考えていたら、ヘンなことを思った。オバマは、酒を飲むのか、ということを。
まあ、飲まないことはないだろうが、大酒は飲まないような気がする。普通は、何問山積、忙しい時には、大酒を飲み、深酒をするようになる。だが、どう考えても、オバマはそうは思えない。
以前、ロシアのエリツィンは、大酒飲みで、多くの愚行を、世界中に晒していた。眉をひそめる人もいたし、他愛ないと思う人もいたが。また、ブッシュ・ジュニアは、若い頃の酒の失敗に懲り、酒を飲まなくなった、という話を聞いたような気がする。が、オバマは、そのいずれでもない。
世界のリーダーとしては、酒でどうこう、なんてことがない方が、もちろんいいが、人間、あまりにも欠点がなさ過ぎてもな、とも思う。たまには、深酒をして、なんてことも。しかし、やっぱり、まずいかな。世界のリーダーは。
スピーチ上手なオバマから、ヘンなことを考えちゃった。