50年など、短い。

曇り、一時雨。
オバマが来た。子供の頃には来たことがあるそうだが、大統領としての来日は、もちろん初。
小浜市の勝手連を含め、日本中、歓迎一色。もっとも、オバマに対しては、世界中どこへ行っても、そうであろうが。おそらく、北朝鮮やイランへ行ってもそうであろう、と思う。鳩山も、アジア歴訪の最初の国として、日本へ来ていただいたことを光栄に思う、と何度も言っていたし。しかし、オバマの日本滞在、24時間。
共同記者会見の模様を見たが、首脳会談で話し合われたことは、どうも総花的。安全保障の問題も、地球温暖化の問題も、アフガンの問題も、北朝鮮の問題も、核廃絶の問題も。アジアの安定は、日米安保が基本、との共通認識。洋上給油は止めるが、アフガンへは、民生支援として、5年間で50億ドルを出す、という公式の表明と謝意。その他も、すべて共同歩調をとる、との認識。
普天間の問題に関しても、今考えているので、あと暫くの猶予を、とのことに、日本も政権が変わったんだから、そのこともよく解かる、との表向きの受け答え。まったく関係はないかもしれないが、予定調和という言葉を思いだした。
鳩山とオバマ、案外、合ってないんじゃないか。マッチしていないんじゃないか。会見では、ユキオとバラクと呼び合う、なんて言っていたが。日米首脳の間では、ロンとヤスとか、ジョージとジュンイチローとかというペアがいた。彼らは、マッチしていたと思う。好き嫌いは、別にして。
しかし、どうも、バラクとユキオは、マッチしていないように、私には、思える。それとも、鳩山が、まだ場馴れしていないからかもしれないからかな。
それはともかく、オバマの発言で、私が、ウン、と思ったものが、ふたつあった。
ひとつは、核廃絶の問題で、核を今持っている国は、削減に努め、北朝鮮やイランには、絶対に廃棄させなければならない、と述べた後、私の生きている内には、できないかもしれないが、と言ったこと。核廃絶への道、一朝一夕にはならない、たいへんな道のりなんだ、ということを、正直に語っていることだ。
それに関し、任期中には、広島、長崎へ行きたい、と言っていた。オバマは、何年か後には、必ずや行くだろう。確信した。
ふたつ目は、鳩山が言う、日米安保が基本であることに変わりはないが、その内容を見直したい、ということに関する答えである。日米安保、50年前と、20年前と、今とでは、同じじゃない。検証するのは、当然だ、という考察である。そうだと思う。冷戦真っただ中の50年前と、今では、世界情勢大きく変わっている。検証は、当然。だが、それ相当の覚悟はいる。
来年は、日米安保改定で、国論を二分した60年安保から、50年。今は、国論など二分されていない。第一、国会を取りまくデモ隊など、そんな話は、久しく聞かない。国論は、ヌボー、としている。そうであるからこそ、じっくり考えたらいいんじゃないか。日米共に。覚悟を持って。
50年など、すぐ過ぎるんだから。50年の時など、短いんだから。
ついでに、今、オバマが悩んでいるアフガンの問題にも、日本は、手を貸すことを考えたらいいと思う。
オバマは、アフガンへ増派すべきかどうか、悩んでいる。2、3日前には、アフガン駐在のアメリカ大使が、今のカルザイ政権、腐敗がはびこり、アフガンへの援助は問題だ、との報告を本国へ送ったそうだ。しかし、オバマは、7対3の比率で、アフガンへの増派を打ち出すだろう、と私は思う。苦渋の選択なんだ、オバマにとっては。
やらざるを得ないんだ。だから、日本が、洋上給油を止め、50億ドルの民生支援を出すことに、謝意を示した。
1週間ほど前の産経新聞に、何で日本が、アフガンに50億ドル、4500億円もの金を出すんだ。洋上給油なら、1年に56億円で済むのに。そんな金があるなら、日本の景気対策に使え。との記事があった。いかにも、産経らしい主張だが、GDPで来年には中国に抜かれるようだが、まだ世界第二位の経済大国の日本、そんなケチなこと、言わなくてもいいだろう。
しかし、4500億の金は、今の日本にとっては、やはり大金。アフガンでどのように使うか、どのように配分するか、それよりも、どのようなシステムを組むか、を十分に考えて出すことが、必要だろう。アメリカとも、よく相談をして。それが、アメリカを助けることになる、と私は考える。
今日の会談の中身はともかく、会見の様子を見ていて、鳩山の言葉よりは、オバマの言葉の方が、やはり、説得力というか、広さ、ということを感じたな、私は。日本人としては、少し残念な気はするが。
それはそうと、今日の読売の夕刊に、<キング牧師、オバマ大統領。彼らが人々を力づけ、奮い立たせた言葉も、仏教で言う愛語>、という昭和女子大学長の坂東真理子さんの話が載っている。愛語なんて言葉は、私は初めて知ったが、曹洞宗の開祖、道元の教えをまとめた「修証義」にある言葉だそうだ。
鳩山が連発する、なにかフニャフニャッとした感じの「友愛」、という言葉に比べ、初めて知った「愛語」、という言葉には、なにか芯があるような感じがする。