無念な顔だ。

曇り。
今日夕刻、西川善文が、ついに日本郵政の社長を辞任した。
笑うことってあるのかな、と思うほど、いつも鉄仮面のような無表情な顔つきの男だったので、余計に印象が悪かった面もある。
夏前、前内閣の総務相であった鳩山邦夫とのバトルの時には、日本の代表的悪人と言われていた。麻生は、鳩山の方を切ったが。3ヵ月ほど前のこのブログでも、大阪の御堂筋がらみで、中之島の市立東洋陶磁美術館のことを記した折り、それを寄贈した住友グループ、そして、西川善文についても少し触れた。
旧住友銀行の頭取、三井系のさくら銀行との合併も主導した。住友の頭取は、歴代アクの強い人物が多いが、西川もそう。最後のバンカーとも言われた。それだからこそ、小泉純一郎が西川に白羽の矢を立てた。国民の圧倒的支持を得た小泉の悲願、郵政民営化を、実現できる男として。
時経て、今度は、民営化見直しを謳った鳩山政権ができた。今度も、国民の圧倒的支持を得て。今度は、郵政問題のみが争点の選挙ではなかったし、なにより、小泉後の自民党のトップが酷すぎたことが大きいが。小泉改革というか、竹中路線というか、競争原理に立脚した、その施策の歪みがあちこち出てきた。
4分社化された郵便局、地方では廃業し、無くなった所もあるという。それは、当然といえば当然。採算の取れない事業は、撤退するのが、民間企業の常道である。郵便にしろ金融にしろ、それは同じ。
新政権、そのような不具合も正そう、というのだろうが、それはいいとして、民営化見直し、私にはよく解からぬ点もある。亀井に振り回されないように、と思うだけ。なにしろ亀井は、この問題で自民党を追い出されたんだから。極端に走る恐れもある。
会見での西川、「今日、小泉さんとお会いになったんですか」、との記者の問いに、「コメントできません」、と強く答えていた。きっと、亀井と会う前に小泉と会い、「あのバカどもが」、とお互いに言っていたことだろう。あの民主党の連中も亀井も、そして、彼らを生んだ元を作った麻生も、みなバカだ、と。
会見での西川の顔を見ていると、志半ばで腹を切る無念さが、その顔によく表われていた。記者のかんぽ問題での質問に、「今は、政府の方針とは異なるので辞めるが、かんぽの宿問題如きでは辞めるなんて考えはなかった」、と答えていたが、信念の男ではあったろう。