十が重なる日。

晴れ。
国際社会での、中華人民共和国と中華民国との存在感に、歴然とした差がついた現在、10月1日の国慶節は大きく報じられるが、10月10日の双十節のことなど、あまり報じられない。
台湾では、重要なる祝日であるが、あとは各国の中華街の行事がある程度。
しかし、つい先日の10月1日、国慶節の日、黒いオープンカーに乗り長安街を走り、天安門上で、射程距離1万キロ以上のICBMを始めとする精鋭部隊を閲兵する、胡錦涛が着ていたのは、黒い中山服。孫文、孫中山が着ていたものと同じ服。中国近代革命の父、孫文と。
10が二つ重なる今日は、98年前の1911年の10月10日、疲弊した清朝を倒した、武昌蜂起の日。辛亥革命の幕開け、となった日である。眠れる獅子、中国が目を覚ました日である。
翌1912年、宣統帝・ラストエンペラー・溥儀は退位、中華民国が誕生し、孫文、孫中山が、臨時大総統となる。中山・孫文は、近代中国の国父となる。中華民国を名のる台湾ばかりでなく、今、超大国とならんとしている中華人民共和国でも。
何年か前、上海の町中から少し外れた、孫文の旧居を訪れた。今の中国でも尊敬されている。だが、今、私が憶えているのは、孫文の写真、カッコいい詰襟の服を着た孫文の写真。中山服を着た。
ハンサムな今の台湾の総統・馬英九は、北京との融和も図っているようだが、今後の中台関係どうなるのか。私は、案外すんなりいくんじゃないか、と思っている。50年か100年後には。3千年だか4千年だかの歴史を持っている中国、50年や100年など、どうってことなし、と思っているだろう。
台湾独立派もいるが、これは、チベットやウイグルの問題とは、本質において違う。民族問題ではない。台湾原住の人々はいるが。
十が重なる双十のこの日、こんなことを考えた。