程よい結末。

雨のち曇り。
昨夜というか、日付けが変わっているので今日というのか、コペンハーゲンからのIOC総会の中継は面白かった。
2016年のオリンピック開催地を決める投票、事前の下馬評では、南米初の開催を目指すリオ・デ・ジャネイロが最右翼。それが、オバマが急遽出席となってからは、リオとシカゴの決選になるんじゃないか、と言われるようになる。
オバマに来られちゃまずいな、と他の3都市、リオも東京もマドリードも思ったに違いない。
やはり、オバマの名は絶大で、シカゴ招致委の代表団を率いて、先乗りをしていたミッシェル・オバマの周りには、IOC委員が、共に写った記念写真を撮るため、順番まちの列を作っていた、という。
暫く前まで、言葉を濁していた鳩山も、日帰り同然の日程で行くことになるが、東京が苦しいことは変わらない。石原慎太郎が、最後の切り札として強く望んでいた皇太子の出席は、やはり、無理だったし。
しかし、第1回目の投票で、シカゴが落ちる。有効投票94票中、マドリード28、リオ26、東京22、そして、シカゴ18票。
首班指名のだらだらとした投票と異なり、電子投票であるため、結果は早い。第2回目の投票で、20に票数を減らした東京が落ち、リオが首位に躍り出る。第3回目の決選投票では、第1回目から3回目まで、ほぼ票数が変わらなかったマドリードを抑えて、リオの圧勝。東京とシカゴの票が、そっくりリオへ行った。
妥当な結果だといえる。それ以上に、その経過が、何とも程よいんじゃないか。まず、なんでも一番・アメリカのシカゴを消し、次いで、既に開催している東京を消す。最後に、南米初のリオにする。東京は、シカゴには勝ったんだから、まあ善戦、納得できるんじゃないか。オバマが行っても、勝ったんだから。
共和党の武闘派・ギングリッチは、こう言ってるそうだ。「オバマは、シカゴ市長じゃないんだ。合衆国の大統領なんだ。それが、イランが核開発を続け、国内の失業率が9.8%にもなっているこんな時に、コペンハーゲンまで行って、それも、勝ったのならまだしも、ビリになって」、と。オバマには気の毒だが、ギングリッチの言うことも、解かるな。
オリンピックを主催するのは、国ではなく、都市。しかし、そうは言っても、実質、国の行事であろう。何のかのと言っても、国威発揚とかその経済効果とかの。もう、アメリカとか日本とか、少なくとも、G7の国々は、その招致にシャカリキにならなくてもいいんじゃないか。
リオに決まった後の挨拶中、ブラジルの大統領・ルラは、大声で泣いた、という。もし、他の国に決まった場合、その国のトップは泣くか。オバマや鳩山は、泣くか。スペインの国王や首相のサパテロは、涙を流すか。おそらく、誰も泣かないであろう。涙を流さないであろう。熱意が違う。オリンピックに賭ける熱い思いが違うんだ。それは、致し方ない。熱い思い、ということでは、先進国、ある程度成熟した国は、新興国にかなわない。
東京オリンピックは、45年前。経済発展のエンジンがうなりをあげ始めていた時期。その後の、ソウルも去年の北京も、そう。エマージング・カントリー、新興国にこそ、オリンピックはふさわしいのではないか。
去年の中国、冬期大会だが2014年は、ロシアのソチ、そして、2016年には、ブラジルのリオ。その次の、2020年のオリンピックは、インドのニューデリーでやればいいんじゃないか。そうすれば、BRIC‘sの4国、一巡する。ま、そんなこと、私が心配しなくても、リオが勝った今、インドは、オリンピック招致の作戦を練っているはずだ。
昨日の投票結果、さらに、投票経過、今の世界情勢から見て、程よいもの、と考える。