さかな展。
9月に入り隅田川の向こうへも。
スカイツリーを挟み墨田区役所、泡立ったアサヒビール本社ビルと黄金のウンチが上に乗るスーパードライホールの墨田区が誇る建物揃い踏みを目にし、一年ぶりに吾妻橋を渡る。
ウィンドウの中に魚がいる。
ギャラリー・アビアントでの「さかな展」。
和紙作家・河瀬和世から案内を頂戴した。河瀬さんからは夏にも個展の案内をもらっていたが、暑い盛り、外へ出ることができず失礼した。
ギャラリーへ入る。
オーナーのノブコさんとお会いするのも久しぶり、お元気そうであった。
正面の青い作品は河瀬さんの作品だ。
河瀬和世≪流れのなかで≫。
川の合流点であろうか、幾層もの水脈の中を赤い魚が2匹泳いでる。
このコーナーも河瀬和世の作。
和紙のコラージュ、また、彩色。
河瀬和世≪光のなかへ≫。
写りこみがあるが、白い魚と黒い魚が泳いでいる。
軽やか。巧まず、工まず。薄口醤油の味わいがある。その中を白と黒の小さな魚が泳いでいる。
河瀬和世≪笑うさかな≫。
おちょぼ口、そしてこの目、たしかに笑ってる。五七五の軽みの視覚化と言えようか。
河瀬和世≪眠るさかな≫。
たしかにこの目、とろん、眠っている。軽みの世界である。
いろいろな魚がいる。
こちらには築地であろう市場の情景が。
まるやまふみこ≪河岸引け≫。
ここに描かれているもの、先般豊洲に移ったが、おそらくついこの間まで活動していた築地の仲卸の店々であろう。
「河岸引け」、魚河岸での朝早くからの取引、作業がすべて終わった状態。人の姿はまったく見えない。魚河岸の皆さん、家に帰ったか、途中で一杯やっているのではなかろうか。
今まではさほど気にもとめなかったが、帰りに黄金のウンチの乗ったスーパードライホールの横を通る時、上を見上げた。
その壁面には、数知れず多くの魚が群れていた。
今日、平成最後の園遊会が催された。
あいにくの雨であったが、天皇皇后両陛下はビニールの相合傘で、務めを果たされていた。
ニュース映像には過去の園遊会の情景も流された。その時々の懐かしい人が出てきた。千代の富士とかキンさんギンさんとか。今じゃあの世へ行ってしまった人も多い。
実は、春と秋、年に2度の園遊会には、多くの国民に知られた全国区の人ばかりじゃなく、コツコツと努力を重ねてきた人たちも招かれている。地震の時に町民のために奮闘した町長だとか、この道一筋にどうこうという人なども。
丁度6年前になる。2012年の秋のことである。
どうぶつ社を閉じる久木亮一が、池袋のジュンク堂でフェアウェル・フェアを行なった。久木亮一、36年に亘り小規模な「志」の出版を行ってきた。良質な出版活動を。
久木がそのどうぶつ社を閉めるにあたり、その時私はこの「流山子雑録」にこう記した。
久木と彼を支えたカミさん、この夫婦を次ぎの園遊会に呼んでくれ、と。
宮内庁の人が私のブログを読んでいてくれたらいいが、とも記した。が、その後、久木夫婦が園遊会に招かれたという話は聞かない。宮内庁の役人は誰も私のこのブログを読んではいないようだ。
今上天皇最後の園遊会にあたり、いささか思いを記した。