政治家としての矜持に鑑み。

こりゃヤバいな、と思っていた。やはり、そうなった。甘利明、辞任した。
週刊文春に持ちこんだ元右翼団体員という男、世間一般の並みの人間ではない。相手を嵌める術を知っている。甘利明、上手く嵌められた。それにしても、甘利明、脇が甘すぎる。やはり二世議員、おぼっちゃまなのか。
それよりも、甘利明の地元事務所の所長である公設秘書、それに政策秘書、この二人はワルだな。口利きを持ちかけてきた男に飲み食いはたかるは、カネはたかるは。代議士秘書、大臣秘書の立場をさんざん悪用している。
地元事務所長といえば、いわば国家老であろう。政策秘書といえば、ブレーンであろう。そういう立場の役職にワルを当てていた甘利明、その目は節穴である。
監督責任を取って、と語った今日の会見、辞任は当然だ。
TPP交渉に於いては、タフ・ネゴシエーターと言われた。そうであった。TPP、よくぞまとめ上げた。しかし、TPPの場ではタフ・ネゴシエーターであったが、すぐ足元では、人を見る目がなかった。節穴であった。
「政治家としての矜持に鑑み」とか、その前には、「政治家としての美学、生き様」、という言葉も使っていた。
そうであろう。そうではあろうが、人を見る目はなかった、と言わざるを得ない。
実は私、現在の安倍内閣の閣僚の中で何となく好き、という男が二人いた。
そのひとりが甘利明であった。いや、その政治信条がどうとか、人柄がどうこうとかといったことではない。感覚的に何となく好き、ということであるが、好きは好きである。だから、甘利明の失敗、とても残念である。(なお、あとひとりの何となく好きな閣僚は、田舎の村長さんのような風貌の遠藤利明五輪担当相)
安倍晋三、甘利明の後任の経済再生相に石原伸晃を持ってきた。石原伸晃、昔から何となく好きではない。存在感が薄いんだ。オヤジが生きている内に、オヤジの爪の垢を煎じて飲むことが必要であろう。
紆余曲折があったTPP、来週、ニュージーランドで署名式が行われる。
アメリカ代表・フロマン、その場に甘利明の姿がないことに寂しさを覚えるであろう。