ユーラシアの端。

中華街の近く、日本大通に横浜ユーラシア文化館がある。

「横浜ユーラシア文化館」、騎馬民族説の考古学者・江上波夫が横浜市に寄贈した考古、歴史、美術、民族資料約2500点、文献資料約25000点を元に、2003年に開館した。
だから、今年は開館10周年。

館内の展示は、このようなパート分け。とても面白いが、カメラは不可。
ユーラシアの東の端に位置する日本、シルクロード(陸のであれ、海のであれ)を通じてユーラシアの国々へ、との思いは強い。

撮影はダメであるが、A5判の「横浜ユーラシア文化館ニュース」があった。最新号は今年3月発行の第18号。10年で18号であるから、1年に2号弱という刊行となる。
最新号ばかりじゃなく、昨年9月発行の第17号、昨年3月発行の第16号もあった。その他、抜けているものもあるが、何冊ものバックナンバーが置いてある。各号8〜12ページという小冊子であるが、全て無料。
展示品そのもの、また、展示品に関するもの、といった記事が出ている。中でも、巻頭の「アートウォッチング」という見開き、ユーラシア美術ミニ事典、といった趣がある。

例えば、第17号のアートウォッチングは、ヒンドゥー神の一人、ハヌマーンについて。
ハヌマーン、インドでは人気がある。また、中国へ伝えられた後は、孫悟空のモデルとなった。

漢王朝、紀元前2世紀から紀元後1世紀にかけての王朝である。
左ページの陶製の馬俑頭部は、副葬品。下の横長のものは、漢代の地下墓室を飾った画像石の拓本。

コーランもそうであるが、イスラムの書籍、とても美しいものが多い。この書も展示されていた。美しい。
この『王書』、精密複製だそうだが、原本は、11世紀に著されたイランの民族、英雄叙事詩だそうだ。

第8号のアートウォッチング。
ウズベキスタンは多民族国家である。だが、その求心力としては、ティムールを持ってきている。ウズベクのあちこちでティムールの像に出くわす。
グーリ・アミール、そのティムールと一族の霊廟。古都、サマルカンドにある。ウズベクに限らずイスラムの古都、青い印象を受ける町が多いが、サマルカンドは殊にそう。
「青の都」である。この見開きページにあるような。

第4号のアートウォッチング。
アフガニスタン周辺、2〜4世紀、となっている塑像。「塑造菩薩像頭部」となっているが、仏像であるかどうかは分からないとも。
そうではある。でも、地域、年代からみて、ガンダーラ佛に非常に近い、ということはできる。
帰りに中華街の媽祖廟へ寄った。横浜中華街、ユーラシアの東端だ。
媽祖、北宋時代に実在した福建省の娘なんだ。28歳で亡くなり、女神となった。廟の人に誘われ、線香を求めた。大きな線香が5本ある。安産、子宝、縁結び、学問、金運その他、媽祖、さまざまな願いを聞き届けてくれるそうだ。
常の如く、孫娘とその一家の諸々のことをお願いした。
この日は、やや寒かった。
中華街のシルクロード雑貨の店でインド綿のストールを買い、安い店でソバを食った。いずれも、ユーラシア。