老人と若い親子の桜。

3月末、近所の公園へ行った。中央部は平らな広場となっており、その周りに木が植わっている。桜木は、その2分の1か3分の1ぐらい。

桜木のすぐ外に民家が広がる所もある。この日、この公園の桜、満開であった。

どこを取っても満開。

この桜木も。
これほどの満開となると、その桜木の下には、鬼に喰われた死体が埋まっている、と考えてもおかしくない。

しかし、このベンチでは、2人の高齢の女性、つまり、2人のおばあさんがおしゃべりをしていた。鬼の片鱗も感じられない。

暫らくすると、白と茶色の2匹の犬を連れた若い親子が現れた。お父さんと小さな娘さんである。
満開の桜木の下にお嬢ちゃんを立たせ、お父さんはデジカメのシャッターを何度も押している。ここにも鬼の出番はなかった。
このような何でもない日常の光景の中では、満開の桜の下での怨霊譚、出る幕はないものと思えるな。