東博の紅。

腹にきた風邪、一昨日、昨日と点滴を打ったら、大分良くなった。
東博、秋の庭園開放、今日で終わる。で、一昨日、点滴を打った後、見に行った。半月前には、未だしの状態であったが、紅葉の度合い、進んでいた。
でも、「東博の錦繍」とは言いにくい。”錦繍”の二文字、三尾の峰々にこそ相応しいもの。徒やおろそかには使えない。では、「東博の紅葉」はどうか。おかしくはない。妥当である。しかし、今日のタイトル、一歩引いて、単に、「東博の紅」とした。黄も混じるが、紅色に。

本館東側入口を入ってすぐのイロハモミジ。
その左側に見える建物は「春草廬」。
江戸時代、淀川の改修工事の際に建てられた休憩所である。その後、大阪へ移築され、さらに後世、横浜の三溪園へ移される。さらにさらに、その三溪園の原三渓から、松永安左ヱ門・耳庵の柳瀬荘内へ移築、柳瀬荘から、東博へ寄贈されたもの、という。
江戸時代の工事現場の休憩所が、その後何人もの数寄者の手に渡っている。原三渓や松永耳庵を虜にした建物、如何なる建物か。入母屋造り茅葺き、五畳と三畳の小さな平屋である。

淡い紅、美しい。

小堀遠州作の茶室・転合庵の裏から。

イロハモミジ。
オオサカズキ(大盃)と名づけられた園芸品種。葉が脈で盃状に折れたようになるので、そう名づけられたそうだ。

大きなイチョウ。完璧な黄色。

イロハモミジを通してイチョウを見る。

イロハモミジの紅、イチョウの黄、秋の配色だ。

濃緑と淡い紅、これも秋の配色。

本館裏から転合庵側を見る。
落ち着いた佇まい。晩く深い秋である。