グローバル・・・。

先週は、ノーベル賞ウィークであった。週初め、いきなり、初っ端の医学生理学賞で、京大の山中伸弥がiPS細胞で受賞した。
日本中が盛り上がった。こうなりゃ、イケイケドンドンだ。村上春樹もイケルぞ、と。だが、それは来年以降へ延びた。しかし、それでは収まらない。週末には、iPSがらみで、山中教授ばかりか、日本という国自体を貶める騒動も持ち上がった。
いずれにしろ、先週は、ノーベル賞で明け、ノーベル賞がらみで閉じた。
しかし、先週の同じ時期、東京では、IMF(国際通貨基金)と世界銀行の年次総会が開かれていた。日本での年次総会、何と東京オリンピックの年、1964年以来48年ぶり。
ビッグイベントである。9日から昨日まで、世界188か国から約2万人の人が日本へ来た。メーン会場である東京国際フォーラム周辺のホテルは、IMF特需に湧いたそうだ。
それはともかく、先週の木曜日、11日の午後4時からNHKBSで、IMF・世銀がらみの討論番組が流された。
ウィークデーの昼間である。グローバル経済に関わっている先端の連中以外、そのような番組を見るのは、私のような引退したヒマ人ぐらいであろう。
しかし、なかなか面白いんだ。

NHKディベート。「岐路に立つグローバリゼーション、グローバル化・東京から東京へ」、というもの。
参加しているのは、右から、日立製作所会長・河村隆、リベリアの大統領にしてノーベル平和賞の受賞者でもあるエレン・ションソンサーリーフ、IMF専務理事・クリスティーヌ・ラガルド、日本国財務相・城島光力、ダボス会議の主宰者である世界経済フォーラム会長・クラウス・シュワブの5人。
左端のモデレーターは、NHKが誇る飯田香織。
いや、”NHKが誇る”というのは、私が勝手にそう思っているだけであるが。飯田香織、3年ほど前、日本へ呼び戻される前、ワシントン特派員として緻密にして的確なレポートを送っていた。日本へ帰ってきた後、NHK初の女性メーンキャスターに抜擢されたが、彼女の良さ、持ち味は減じられた。
しかし、このような世界を動かす連中によるディベートを仕切るには、飯田香織、持ち味を発揮する。40代に入っているが、アジアンビューティーとしてのコケティシュな趣もあるんだ。
いや、私は何を書こうとしているのかな。アジアンビューティーの何とも言えぬ趣なのか。それとも、世界経済の動向なのか。もちろん、後者である。

今、世界で最もカッコイイ女性はこの人・クリスティーヌ・ラガルドである、と私は思っている。スカーフやストールの使い方が、何とも言えない。カッコイイんだ。
東京での今回のIMF・世銀年次総会、中國は、財政相と中央銀行である中国人民銀行総裁の出席をドタキャンした。尖閣諸島国有化に対する意趣返しと言われている。それに対し、IMF専務理事・ラガルド、こう言う。「中国は、機会を逃した」、と。中国に対するジンワリとした非難である。

世界経済の現状、厳しいものがある。欧州危機がある。世界経済はリセッションへ向かっている、という声もある。日本も極端な円高に喘いでいる。その内に来る、アメリカの「財政の崖」もある。
世界経済の舵取り、とても大変だ。
何と言っても、ジョブ・クリエーション、雇用をどう創出すべきか、という問題が大きい。
何より問題なのは、若年層、若い人たちの問題である。若年層の失業率、あちこちでとても高い。どうすりゃいい。
あちこちで、世界中で、貧富の格差も開いている。どうすりゃいい?

弱者をいかに守るか、という問題もある。
先進国でも、途上国でも、格差の問題が生じている。
この”弱者”という言葉に関し、世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブは、こう言う。
”弱者”ではなく、”支援を必要としている人々”とするべきじゃないか、と。”弱者”では、彼らの尊厳を侵す、と。さすが、ダボス会議の生みの親、視点が違う。そう言われれば、そうかもだ。

”成長モデル、どう転換するか”。難しいが、転換可能である。楽観主義者の私は、そう思う。
それにしても、このディベート、このような言葉がよく出たきた。”グローバル”という言葉である。
”グローバル・チャレンジ”、”グローバル・ソリューション”、グローバル・シチズン”、さらには、”グローバル・ステークホルダー”なんて言葉まで。
IMF・世銀の総会に来ていた多くの人たちと話した飯田香織、彼女の今日のブログにこう書いている。
”彼らがいなくても、誰も惜しんでいない”、と今回の年次総会の参加者は言っている、と。ここで”彼ら”と言っているのは、ドタキャンした中国の財政相と中央銀行総裁のこと。
”グローバル・・・”の時代である。中国も、もう少し大人にならなけりゃ。中国の中枢部、チットもグローバルじゃない。グローバル・シチズンでもグローバル・ステークホルダーでも。