パリ+リスボン街歩き (61) バイシャ地区。

ヨーロッパの町、東京に比べればどこでもみな小さいが、リスボンもそう。でも、狭くはあるのだが、地域、地域によって街の香が異なる。
リスボン、坂の町だが、ここバイシャ地区は坂と坂に挟まれた所。低い町。前日、リスボンカードを買いに行ったツーリストインフォメーションがあるのもバイシャ地区。

4、5階か5、6階か、そのような高さの建物が続く。

確か、この通りは、アウグスタ通り。バイシャ地区のメインストリート。

テージョ川の方を振り向けば、勝利のアーチが見える。そのアーチの間からは、コメルシオ広場に建つドン・ジョゼⅠ世の騎馬像も。その先は、テージョ川。

子供たちの向こうに、何やらじっとしている人がいる。全身を真っ白に塗った人。

日本の町でもたまに見かけるが、ヨーロッパの町では時折り見かける。

このような道が幾つも交わる。
この日は、雨が降ったり止んだり、という天気であった。

このような店があった。
酒のボトルがズラッと並んでいる。前の方には魚の切り身が並ぶ。生ではなく干物だ。

”CARAS BACALHAU”と書いてある。”良い干しダラ”、という意のようだ。ただ、赤い字で6.40と書いてあるのは、どういうことなのか解らない。6.40ユーロなら話は解かる。しかし、数字の横の赤い字は、どう見てもKGと見える。6.4キログラムってどういうことか解らない。さしたることではないが。
それより、干しダラを使った料理、ポルトガルの代表的料理なのだそうである。しかし、所詮は干しダラだ。日本では、湯豆腐に入れる魚、さしたる魚ではない。ポルトガルでも干しダラを使った料理、大衆的なものである。値段もリーズナブル。だから、2、3度食べたような憶えがある。

このような街角もあった。

雨が降ったり止んだり、といった日であった。濡れた路面が光っている。

リスボンは南の国なんだな、と思うことがあった。
雨が降ったり止んだり、ということはどこの国でもよくあること。しかし、リスボンでは突発的な雨が降る。一時的に激しい雨が。ベトナムやタイやインド、こういう南の国でしばしばいきあう雨である。シャワーである。この日のリスボンの雨もそうであった。
このような通りを歩いていたが、その内、道が分からなくなってしまった。そうこうする内に、激しい雨が降ってきた。南国のシャワーだ。庇のある所へ駆け込んだ。近場の駅はどこにあるのか、分からない。タクシーさえ通らない。仕方ないな、と思っていた。
と、少し先にやはり庇を借りて雨宿りをしている二人連れがいる。60前後の男女。彼らに声をかけた。「近くの地下鉄の駅へは、どう行けばいいんですか?」、と。
少し間を置き、彼ら二人、笑った。そして、言った。
「知らないんですよ。私たちは、昨日、ロンドンからリスボンへ来たのです。だから、リスボンのことはさっぱり。ここがどこなのか、誰かに聞こうか、と考えていたんですよ」、と。
私は、彼らがコーカソイドなので、リスボンのことを知っているだろう、と思って声をかけた。しかし、彼らは、昨日、ロンドンから来たばかりなので、リスボンの街中のことなど分からない。それどころか、彼らは、ここがどこか、近い地下鉄の駅にはどう行けばいいのか、誰かに聞こうと思っていた。しかし、傍にいるのはモンゴロイド。彼らに聞いても分からないだろう、と思っていた模様。
だから、そのモンゴロイドから、ここは何処?、近場の地下鉄の駅は?、なんて聞かれて笑ってしまったんだ。彼ら二人、ロンドンへ帰ってから言っているかもしれない。「リスボンで、道を聞かれちゃったよ」、と。
リスボンのシャワー、暫らくしたらおさまった。