8年前の今日。

桜花、ちらほらと咲いているようだ。
昨日、Iからの誘いがきた。今年は、少人数で行くことにする。夜間照明は自粛されているため、いずこの桜にするかは、その時次第。
大地震、大津波、かてて加えて原発事故。66年前、日本中が焼きつくされ瓦礫の山となった時以来の大国難。さまざまな人がさまざまなことを述べている。
シャカリキに大声をあげ、行動している人。政府や東電の対応、隠蔽体質を批判し続ける人。本当はこうですよ、と放射能の恐ろしさを講義してくれる人。一見、過剰な冷静さを紡いだ言葉を吐き続けている人。・・・・・
どのような分野であれ、これらの、今、日本の第一線にいる人、オピニオンリーダーと言われる人、考えてみれば皆さま概ね戦後生まれの方々。自らの目で戦後の焼け跡を見た人たちではない。戦禍も知り、今回の事態も知る人の発言で憶えているのは、瀬戸内寂聴ぐらい。そのお元気だった寂聴さんも「今は足萎えになって」、と記されていたが。
数限りない人が死に、一望の焼け野原を知る人、ある程度の判断ができる年、少なくとも当時中学生ぐらいの人、今では80歳以上の人、おそらく3万人を超える人が亡くなった今回の大災害、どう考えるか。恰好の男がいる。野坂はどう思うか。
哀しいかな、野坂昭如、8年前脳梗塞で倒れた。だが、HPは健在。サングラスにミリタリーシャツの胸をはだけ、チェーンのネックレス、全盛期の写真がある。その横に”ただいまリハビリ中”、の文字。
「旅の果て日記」は、2003年5月9日で中断されている。8年前の今日、4月2日にはこう書いている。
<曇、小雨。桜ほぼ満開。神戸の頃、まず8日あたりだったが。イラクの米英軍攻撃再開とのこと。かっての大本営発表まがいと承知で、観たり読んだり。完全に管理、操作されていると判っているだけまし。余計な推測はつつしむ、・・・・・>、と。
イラクがリビアに変わっているだけで、8年前の今日と今年の今日、さほど変わってはいない。桜が咲くころには、”神戸の頃”、”大本営発表”の字句もある。ただ今年は、大地震、大津波、原発事故がある。
野坂昭如、何思う。野坂の言葉を聴きたいな。今、全盛期の人たちよりは。
永六輔のラヂオ番組で週一回、野坂からの手紙を流しているそうだ。聴いたことはないが、来週あたり聴いてみよう。