いいねえー。

このところの国内ニュース、暗く、遣る瀬無く、情けないものばかり。しかし、昨日から今日にかけてのニュースは、爽快、痛快、心地よいものであった。
東京マラソンで日本人トップになった若い市民ランナー、タイムも良く、世界陸上選手権への代表に内定した。陸連幹部は、セミプロの実業団選手が市民ランナーに敗れ、ショックを受けているそうだ。
それよりも、何よりも、川内優輝という名の若い市民ランナー、その言葉が良かった。
「有給休暇をあまり使っていないので、それを使って世界陸上へ行きたい」、と言っている。埼玉県の職員で、春日部の高校で事務をとっている若者、気持ちのいいことを言ってくれる。多くの日本人、久しぶりに、爽やかな気持ちを抱いたのではなかろうか。
県立春日部高校の事務職員の彼・川内優輝、今日は忙しい日だそうだ。朝8時半から、入試の願書受付けがある、という。
で、今日のテレビ各局、皆この場面を流していた。

8時半前の春日部駅。その改札を通る川内優輝の映像を。
スーツに黒っぽいコート、背中にやはり黒っぽいナップザックを背負い、手にビニールバッグを持っていた。トレーニングウェアでも入っているのか。その後、学校で働いている映像もあったな。
東京マラソン、3位の賞金は200万円。その使途を聞かれ、半分の100万円は、遠征費などに使い、あとの100万は、これから考える、と言っているそうだ。これも、いいねー、という言葉だ。
私は知らなかったが、川内優輝、箱根駅伝も走ったランナーだそうだ。学連選抜の選手として2度も。学習院の陸上部だった、という。学習院には、テニス部や馬術部ばかりでなく、ただひたすら走る陸上部もあったんだ。
それはさておき、箱根駅伝の学連選抜に選ばれるくらいだから、力のあるランナーには違いない。去年の東京マラソンでも、タイムはさほどではないが、4位に入っている。今年も、招待選手ではある。しかし、やはり、市民ランナー、各地の大会に出るための経費は、すべて自分持ち。実業団選手のように、会社から出る、という環境にはない。
走るための経費、すべて自分の給料の中からひねり出しているそうだ。埼玉県の職員とはいえ、県が出してくれるワケはないもの。だから、3位の賞金、ありがたい、ということなのだろう。これも、いいなー。

このレース途中の補給ドリンクも、学校の同僚が作ってくれたものだそうだ。
もちろん、コーチもいない。自分は、陸上のエリートではない、落ちこぼれだ、とも言っている。自分の稼ぎで、好きなことをやっている、とも。
2時間8分台のタイムが出て、自分でもビックリしている、と語っている。今年、韓国で行われるという世界陸上、「やっぱり、世界は強かった。私なんか」、と言って帰ってくるかもしれないが、結果はどうあれ楽しみだ。
いやー、久しぶりに爽やかな心もちがした。そういう人、多かろう。
世界陸上への遠征費は、陸連が出すのであろうが、埼玉県も、有給休暇なんてケチなことは言わず、特別休暇を与えてやれ。