さるすべり。

2時すぎ、近所の中華屋へ行くと、店を閉めていた。旨くて安い店だったので、客の多い店だった。
元より、4時近くには閉める店で、3時すぎでも、「今日は終わりました」、といわれる店であった。もちろん、夜はやらない。何時から開けていたのか知らないが、1日に数時間しか開けていない不思議な店だった。
それでも成りたっているだろう、と思われる店だったが、店そのものを止めちゃった。不思議だが、何らかの理由があるのだろう。商売よりも大事な、何らかのワケが。
別の店に行くため、10分ばかり歩いた。途中に、桜の木が多い小さな公園がある。花をつけるのも、そう遠くはない。隅っこのほうに、大きなさるすべりが3本ある。今の時季、桜の木は黒っぽく見える。隅っこではあるが、茶色と白のまだら模様のさるすべりは、目立つ。

さるすべり、夏の季語。今は、冬。
「お前、季節感がないんじゃないか」、といわれもしようが、冬のさるすべり、きれいじゃないか。このまだらの、だんだら模様。

ここらあたりは、”猿滑り”、といえようか。

     道化師に晩年長し百日紅     仁平勝

     百日紅乙女の一身またヽく間に     中村草田男

     寺のまたいくさにほろぶ百日紅     石田勝彦

     百日紅死はいちまいの畳かな     齋藤愼薾

さるすべり、案外大きい。見上げると、7〜8メートルはありそうだ。
百日紅の名の通り、この枝先に、夏から秋にかけ赤い花をつける。
今は冬。まだらの幹が美しい。