浅草ふらり。

業平橋から浅草へ。3日前の4日のこと。
東武を降りると、松屋も化粧直しをしているようだ。営業はしている模様だが、建物の周りにシートがかかっている。業平橋界隈ばかりじゃなく、下町のあちこち、どうも5月のスカイツリーの開業に合わせ、改造、補修、手入れに励んでいるようだ。
松屋の横の吾妻橋の方へ。隅田川の向うにスカイツリーが見えるのじゃないか、と思い。

見えた。吾妻橋の手前あたり、大勢の人がデジカメやケイタイで写真を撮っている。
首都高の上、隅田川の向う岸、アサヒビールのドハデなビルの横にスカイツリーが見える。

吾妻橋の途中まで進み撮った。
左の下町らしからぬ光るビルは、墨田区役所。真ん中の金色のビルは、アサヒビールの本社。その右は、屋上にウンチが乗っている、と評判になった、やはりアサヒビールのビル。なお、屋上の黄金色の物体は、ウンチではなく、正しくはビールだそうである。そう言えば、本社の上部もビールの泡なんだな、おそらく。
いずれにしろ、下町・墨田区が誇るドハデな建造物の一角に、スカイツリーも仲間入りをした。
さして歩いているわけではないが、少し疲れた。コーヒー屋で少し休み、観音さまへ行く。観音さまへは、昨年暮れにも行った。渋谷へ映画を観に行った帰り、浅草へ寄った。
今では、あちこちのショッピングモールの中にシネコンがあり、常に10ばかりの映画を上映している。私の住む近辺でもそうだ。しかし、シネコンではやらない、東京でしかやっていない映画がある。そのような時には、一日仕事となる。映画を観て、飯を食い、どこかをふらつき、安い居酒屋で少し飲んで帰る。
昨年末も、渋谷から銀座線に乗り、表参道、赤坂見附、銀座、どこかで乗り換えよう、と思っていながら、つい終点の浅草まで乗ってしまった。で、観音さまへ行った。一週間足らずの間に、2度観音さまにお参りしたことになる。ま、お参りは、やり過ぎということはない。

本堂の前。
三が日ほどではないが、お参りに来る人、絶えることはない。

本堂の中では、読経が続けられていた。
お賽銭をあげ、お祈りをし、孫のためのお守りを求めた。

いつの間にか夕刻。5時前後の冬の空、うす暗くなってきた。
本堂を下り、宝蔵門の方へ来ると、その庇の下にスカイツリーが見えていた。黒っぽく。上の方にはお月さまも。
時間は5時前後、頃やよし。浅草へ行くとタマに寄る焼き鳥屋へ行く。仲見世通りからちょっと入った店。安い店でしか飲んではいないが、ここのモツ煮は、抜群に旨い。壁には、”野菜モツ煮”と書いてある。外ではあまり飲めない。この日も、お銚子一本のみ。
その後、新仲見世通りを歩いていると、”わけあり本舗”という名の店があった。3軒繋がってみんな”わけあり本舗”。”仕入れにわけあり、わけあり本舗”、なんて言葉を流している。普段何も買わなくなった私、よくは解からないが、安いことには違いない、と感覚的に思える。裏にフリースのついた防寒ズボンをつい買った。今、穿いている。浅草だ。下町だ。
その後、浅草ROXに入った。どんくさいショッピングモール。今、田舎のショッピングモールでも、もう少しはシャレている。でも、私は、このどんくさい浅草ROXが何故か好き。何を買うわけじゃないがタマに入る。
今まで気がつかなかったが、入ってすぐ左におもちゃ屋があった。何を買うつもりもなかったが、つい見ていた。女性店員が話しかけてきた。「何か月ですか」、と。とても感じのいい人だった。ガラガラのついたおしゃぶりを買った。赤ちゃんがおしゃぶりしても、安全なものだそうだ。
丁寧にラッピングしてくれた。入れてくれた手提げ袋には、グランパパと書いてあった。今、経営は津川雅彦から変わっているそうだが、良質のおもちゃを扱っているそうだ。
上に上がると、4階にリブロがある。グランパパにしろリブロにしろ、下町のどんくさい浅草ROXとはミスマッチ、と思える店なんだがな。
ただ、さすがリブロ浅草店、下町・浅草コーナーがある。多くのスペースを取っている。スカイツリー関連の書もこれでもか、と言わんばかりにある。下町散歩ものなんてものも多く出ている。江戸がらみの書も多く並んでいる。浮世絵関連の書も。中でも多いのは、春画に関する書。入門書から研究書まで、さまざまな春画本が並んでいる。懐かしい林美一の書も。
落語関連の書も多く並んでいる。浅草、江戸下町だ。年末に死んだ立川談志がらみも多くある。
文庫本を一冊買った。聞き手・吉川潮の立川談志へのインタビュー本。タイトルは、『人生、成り行き 談志一代記』(新潮文庫、平成23年年刊)。「追悼 落語界の至宝 立川談志」、という腰巻が巻かれている。慌てて刷ったものだな、きっと。
浅草ふらりのひと時であった。