ーまぼろしの翼ー 島谷晃展(続き)。

茅ヶ崎市美術館での島谷晃展、2室の内まだ1室しか観ていない。
が、2時となった。2時からは、早見堯の講演会が行われる。
そちらへ。

小ぶりなレクチャールーム、50人ほどの聴衆でいっぱい。

左前の方では、島谷の≪カリブのたより≫帽子を被ったミロのビーナスも聴いている。

講師の早見堯が座る机にも、島谷の麦藁帽子にドローイングした≪Mr.Sのオブジェ≫が乗っている。
早見堯の講演のタイトルは、「島谷晃 夢宇宙にはばたく 連想する力」というもの。
いきなり、島谷晃の人柄から入った。「女子にモテたい。喧嘩に強くなりたい」、という「こだわり」から。島谷の「だじゃれ」、「地口」といったことも。やけにありきたり、卑近な所から入ったなと思っていたら、和洋・東西の名品との対比で島谷晃の連想する力に迫っていく。
もちろん、喧嘩っぱやかった島谷に触れることも忘れない。
早見、早稲田の文学部美術専修では島谷の1年下だそうだ。で、島谷から何だかんだ言いがかりをつけられ、ぶっ飛ばすぞ、と脅かされた、という。本当にぶっ飛ばされたことはなかったそうだが、いかにも島谷らしい。

昨日、早見堯からメールが来た。Power Pointによる一昨日の講演で使った画像が添付されている。154枚も。
それはそれ、改めて東西の美術史を勉強したが、ここでは白髪頭越しに撮ったものを載せよう。
上のこれは、はて何だったかな。アンリ・ルソーの≪自画像≫に、横尾忠則の≪正確な寸法で描かれたルソー像≫に、島谷晃の≪みのむし(イ)≫。島谷晃の「ひらめき」ってキーワードだったかもしれない。

やはり初期、学生時代の≪かみになる≫。

このように繋がり・・・

光背の花魁(遊女)は・・・

飛天や歌麿の花魁に。
「近似した複数のイメージを、ひとつのイメージに圧縮している」、と早見は語る。

このマグリットや、

デ・キリコを用いて島谷の二重性を。

≪スリナムの夢≫を例に島谷の色彩の使い方を、こう語る。

それはそうと、茅ヶ崎市美術館での島谷晃展、展示がとても良かった。本展を企画し構成した同館学芸員・西内裕詞の力量であろう。
この1階から地階へ下りる階段のコンクリの壁に取り付けられた≪スリナムの夢≫を見ても。

島谷の色彩に関し、早見はこう語る。
アンリ・マチスと

ケネス・ノーランドの作品と対比して・・・
<マチスやノーランドは、見る者に対峙する色彩のコントラスト。それに対し島谷は、彩度を落とし、色相の緩やかな転調。叙情色なので見る者が感情移入しやすい>、と。

また、昨日載せた≪GREEN SHADOW≫を例に、島谷の異質な描写の組み合わせを指摘する。
シンプルな線描、単色のグラデーション、細密な彩色描画、の3点を。
たしかに、上部の羽を広げたフクローは細密画であり、足の部分は単色のグラデーションであり、中間部分はシンプルな線描だ。

明日、載せるつもりであるが、別室に展示されている≪The voice of time(ときの声・にわとり)≫、組み合わせ、合体、コンビネーション、と読む。

若冲と対比させて。

「島谷晃 夢宇宙にはばたく 連想の力」の早見堯のまとめはこのようだ。
上は、その1。

そして、その2。
「島谷晃と早見堯のコラボ」、とても面白かった。


それはそうと、今日、早見堯や一緒に行った古い仲間にその折りの写真を送付しようとしたら、何と送付できない。
実は、昨年末パソコンを買い替えた。それ以来、幾つもの不具合が起こっている。明日以降、メンテに訊いて、改めてチャレンジしなければならない。